Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2008-01-01から1年間の記事一覧

堀内 都喜子 『フィンランド 豊かさのメソッド』

フィンランド・ユヴァスキュラ大学院で異文化コミュニケーションを学んだフリーライター・堀内氏によるフィンランドの社会・文化・人々の暮らしを描いたエッセイ。現在はフィンランド系企業に勤め、さらにフィンランドとのつながりを濃くしているところだそ…

ポール・ポースト 『戦争の経済学』

第一次・第二次世界大戦やベトナム戦争、イラク戦争などの事例を取り上げながら、ミクロ経済学・マクロ経済学の理論を使って、兵器や軍、テロといった戦争に関する事象を分析する本。 「戦争」と「経済」、最初は嫌悪感を感じましたが、歴史を振り返ってみれ…

本山 美彦 ほか 『儲かれば、それでいいのか』

2005年1月に自分の働いていたNGO(JACSES)で主催されたシンポジウムのレコードを下敷きに、同シンポジウムのパネリストからの書き下ろし原稿を交えたエッセイ集。タイトルどおり、グローバリゼーションと貿易自由化、多国籍企業と大資本の横暴、地域経済や…

東海林 智 『貧困の現場』

毎日新聞社会部の東海林氏による書き下ろし。大手小売・飲食チェーン店長、日雇い派遣労働に従事する若年層、役所の「水際作戦」に翻弄される生活保護受給者、といった厳しい労働環境・貧困にさらされる人々を描いたルポルタージュ。 国内外の景気減速下、以…

ジャック・アタリ 『21世紀の歴史 未来の人類から見た世界』

ミッテラン元フランス大統領の補佐官を若干38歳にして務めたジャック・アタリ氏による21世紀の歴史を描写する野心的なエッセイ。原著出版は2006年ですが、昨年当選したサルコジ大統領は本書に触発されて「アタリ政策委員会」を設置、フランスの国家政策と世…

佐藤 優 『国家の崩壊』

前出の休職中外交官・佐藤氏によるソ連崩壊過程を主に理論面から分析したエッセイ。宮崎学氏がインタビュアー役となり、その質問に佐藤氏が回答していく形式です。 政治・外交の理論的な側面に加え、当時モスクワに駐在し保守派・急進派ともに深い現地人脈を…

佐藤 優 『自壊する帝国』

かつて「外務省のラスプーチン」と呼ばれた、『国家の罠』で知られる作家・佐藤氏のモスクワ時代の回顧録、新潮文庫になって先月発行されたので本屋でつい購入。 自身の専門である神学を武器にモスクワの政治エリート・高官・知識人らの人脈に入り込み、1991…

堀之内 朗、武内 浩二 編著 『債券取引の知識』

債券取引の基礎知識について凝縮された日経文庫、第二版。第一版の著者である堀之内氏が「まえがき」で述べているように、ありそうでない「債券に関する簡単な入門書」になっています。 自分も債券市場関連の案件に仕事でかかわっているので、今さらながら基…

竹中 平蔵 『竹中式マトリクス勉強法』

いわずと知れた元大臣の慶応大教授・竹中氏による「勉強法」についての本。改めて氏の経歴を見ると、一橋⇒日本開銀⇒大蔵省⇒阪大⇒ハーバード⇒慶応⇒大臣⇒参院議員⇒慶応、と、やはりかなり「珍しいキャリア」を積まれていることが分かります。過去の自身の経済…

魚住 昭 『官僚とメディア』

『渡邉恒雄 メディアと権力』『野中広務 差別と権力』といった政治やメディアがらみのルポルタージュで知られるもと共同通信記者・魚住氏のベストセラー。 官僚による情報操作やメディアとの癒着についてはたびたび週刊誌等で話題になりますが、このようにま…

エドワード・W・サイード 『知識人とは何か』

『オリエンタリズム』で知られるパレスチナが生んだ比較文学教授にして中東問題における重要な発言者、E,W.サイードが1993年に行ったBBCリース講演の単行本化。 サイードならではの文学や文化比較、中東・米国の情勢や過去の思想化・哲学などの多様な事象に…

池本 修一ほか 編著 『グローバリゼーションと体制移行の経済学』

中東欧や中央アジア・コーカサスといった旧社会主義諸国の体制移行プロセスについて、グローバル化する世界経済とのかかわりのなかで実証的な分析をおこなった15名の移行経済学研究者の方々による論文集。 仕事がら体制移行国の経済発展やグローバリゼーショ…

ヘンリー・M・ロバート 『Robert's Rules of Order Newly Revised』

最近トーストマスターズクラブ(英語スピーチクラブ、世界中に支部がある)に参加し始めたのですが、自分が所属する支部のボスがスピーチのテーマとして取り上げていた本で、興味を引かれたのでそのままお借りしてしまっています。 あまり聞き慣れない名前の…

最上 敏樹 『いま平和とは-人権と人道をめぐる9話-』

国際法の権威・ICUの最上先生による2006年発刊の新書。2004年度「NHK人間講座」のテキストをもとに加筆修正した内容です。 国連安保体制、PKO、国際人道法、人道的介入、ジェノサイド、核。国際社会の安全保障と平和、人権についてのさまざまなトピックが、…

ロバート・ゲスト 『アフリカ 苦悩する大陸』

だいぶご無沙汰してしまいましたが、徐々に再開。 英エコノミスト誌の元アフリカ担当編集長のゲスト氏によるアフリカの国々を描いたルポルタージュ。具体的で、包括的。この種の本としては傑出した本だと思います。 邦訳は300ページ強。ナイジェリア、ザンビ…

ジョエル・J・オロズ 『助成という仕事―社会変革におけるプログラム・オフィサーの役割』

アメリカ・ケロッグ財団のプログラムオフィサーを長く勤めたジョエル・オロズ氏が、助成事業に携わる財団のスタッフ、特にプログラムオフィサーのためのマニュアルとして書き下ろした本。 会社の先輩から借りて読了。 データは古いが、ビルゲイツ財団の資産…

塩見 直紀 『半農半Xという生き方』

「半農半X」というキーワードを提唱して活動している塩野さんの2003年の単行本を新書化。この機会に本屋に購入しました。 ・「半農半X」とはなにか? ⇒「小さな暮らし」と「充実感ある使命」。 最低限食べていけるだけの主食や野菜を栽培しつつ、残りの時間…

小林 多喜二 『蟹工船/一九二八・三・一五』

いま『蟹工船』が再度ブームになっているらしい。ニュースによれば、新潮文庫版は2008年上半期になんと40万部を増刷。「言われてみれば、まだちゃんと読んでないなあ」と思い岩波文庫版を購入。 劣悪な環境に押し込まれ、来る日も来る日も極寒の海で蟹を取り…

箭内 昇 『メガバンクの誤算 銀行復活は可能か』

もと長銀(日本長期信用銀行)の役員・箭内さんによって書かれた、2002年当時の日本の大手銀行のウィークポイントについて分析した新書。 タイトルにあるメガバンクのみならず、批判の対象は銀行業界の対異質そのものにも向かいます。2002年から現在までの6…

R・A・ハイフェッツ、M・リンスキー 『最前線のリーダーシップ』

ハーバード大学院ケネディスクールの人気教授が、リーダーシップの実践技術について分析した教科書を当時の日本の留学生が翻訳した本。元大臣の竹中平蔵先生が監訳。 翻訳者のなかに自分の会社出身の方が居り(いま経営コンサルタント)、その方と知り合いの…

鈴木 央 『ライジングインパクト』

2002年まで週間少年ジャンプ誌上で連載された、東北に育った天才少年ゴルファー・ガウェインの成長をたどったマンガ。マンガ喫茶で見つけ、あれよあれよという間に全巻読了。 連載当時も面白いと思って読んでましたが、今回まとめ読みして、全体の構成のうま…

横山 秀夫 『半落ち』

映画化もされた横山秀夫さんのベストセラー小説。 本屋でふと手に取り、さくっと読了。 アルツハイマーの妻を手にかけた嘱託殺人の犯人、梶聡一郎。殺害方法や動機については「落ち」た ものの、事件後に自首にいたるまでの空白の「2日間」が謎に包まれた「…

伊集院 静 『アフリカの王』

ケニア南西・マサイマラ国立保護区の丘の上に、ホテルを建てる― 実在のホテル「ムパタ・サファリ・クラブ」 http://www.mpata.com/japanese/index.html と、それを建てた一人の日本人を題材にした伊集院さんの小説。 ケニア在住歴のある会社の先輩に借りて読…

遠藤 周作 『深い河』

遠藤周作氏のベストセラー小説。人間の死を淡々と受け入れるガンジス河のほとり・ヒンズー教の聖地ヴァラナシを舞台に、それぞれの過去を背負った日本人の思いが交錯します。 いちばん印象的なのは、ミッション系の大学に通いキリスト教を信仰しながら、その…

廣瀬 陽子 『コーカサス 国際関係の十字路』

コーカサス地域(カスピ海と黒海に挟まれたユーラシア大陸のど真ん中)研究で知られる研究者・廣瀬先生の新刊。一般向けの新書とあって、帯にあるとおり「日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか」、とくに民族紛争、天然資源、対外関係(…

エズラ・F・ヴォーゲル 『アジア四小龍 いかにして今日を築いたか』

『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者、ハーバード大学教授(当時)による東アジア新興国(シンガポール、香港、韓国、台湾)の工業化プロセスについての分析。1991年の出版からはや17年が経過しましたが、今読んでみてもやはり興味深い内容となっていま…

山田 真哉 『食い逃げされてもバイトは雇うな』 『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』

「分かりやすい会計本」で有名な山田さんによるベストセラー、上・下巻の新書。会社の先輩から借りて読了。 正直あまり上・下に分けて出版する理由が分からず、「一つにまとめれば良いじゃん!」と思ってしまいましたが 笑、ともかく、この本の狙いである「…

落合 博実 『徴税権力 国税庁の研究』

もと朝日新聞編集委員・落合さんによる国税庁の内実に迫るドキュメント。門外不出のマル秘資料をはじめ、現役時代の豊富な対国税庁の取材経験に基づいて構成されています。 以前からタイトルだけは知っていた本なのですが、最近仕事で国税庁の方々とお付き合…

永井 隆 『人事と出世の方程式』

産業界に詳しいジャーナリスト・永井さんによる新刊。揺れ動く近年の「企業の昇進人事」の様子を描くドキュメント。 「日本企業の成果主義・終身雇用が崩れてからも、変わっていない人事システムがある。それは昇進昇格に関するシステムだ」、というパートに…

マハトマ・ガンジー 『ガンジー自伝』

あまりにも有名なインドの思想家・政治家、マハトマ・ガンジーによる自伝。ガンジーが生前に自ら「自伝」として執筆した二冊の本『自叙伝』『南アフリカにおける非服従運動』をまとめた英語版を邦訳。 以前から気になっていたガンジーの思想の深遠を探るべく…