Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

信濃毎日新聞社編 『北アルプストイレ事情』

信濃毎日新聞に連載された同名記事の単行本化。日本随一の登山・登攀名所として知られる北アルプスの環境問題-登山者のためのトイレ-にまつわるトピックス。 先週末の涸沢小屋で読了。 今まで山小屋任せにしてきたトイレ管理、その驚きの実情が、現地新聞…

冷泉 彰彦 『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』

東大、ベネッセ、ベルリッツを経て現在プリンストン在住、冷泉さんによるアメリカ二大政党にまつわるトピックスを紹介した新刊。 会社の上司から「アメリカ政治の対立軸がよく分かる」と紹介され、ジムでサイクリングマシンを漕ぎながら読了。 確かにアメリ…

井上 靖 『氷壁』

史実である北アルプス・穂高連峰の屏風岩で起こった1955年「ナイロンザイル切断事件」を題材にした井上靖の新聞小説。おととしもNHKでドラマ化されるなど、依然版を重ねている井上靖の代表作のひとつ。 先週末に穂高に登ったときに、涸沢小屋の本棚にあった…

門田 隆将 『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』

1999年山口県光市母子殺害事件を、事件直後から今年4月の被告への死刑判決まで、実に9以上にわたって本村洋さんら被害者遺族の戦いを追い続けたジャーナリスト・門田さんによる記録。 本屋で衝動買い、そのまま読み終えてしまいましたが、本を読んで涙したの…

原 洋之介 『開発経済論』

東大農学部出身で、以降アジア地域をメインに農業経済・開発経済の研究を続けてこられた東大教授・原先生による開発経済学の入門書。家の本棚に眠っていたものを読了。 既に確立した学問領域として成り立っているミクロ経済学やマクロ経済学と違い、研究者に…

小林 由美 『超・格差社会アメリカの真実』

突然ですがマイケル・ムーアの「Sicko」を見てアメリカの医療保険制度があまりにひどいのを改めて感じ入り、この社会についてもっと知りたいと思って手に取ったのがこの本。 旧長銀からスタンフォード大、1982年当時日本人女性初のウォール街の証券アナリス…

中原 伸之 『日銀はだれのものか』

1998年から4年間日銀政策委員会審議委員を務め、他の委員の反対にあいながらもゼロ金利政策や量的緩和政策を一貫して主張し続け(そして実際そのとおりに日銀の金融政策は推移していった)後に金融庁顧問として金融再生プログラム作成に携わった中原さんによ…

野田 由美子 編著 『民営化の戦略と手法 PFIからPPPへ』

バンクオブアメリカや旧長銀でプロジェクトファイナンスに関わった後、英国をはじめ世界各国で政府の民営化アドバイザーを務めた実績のあるプライスウォーターハウスクーパースに勤め、2000年に日本事務所で民営化部門を立ち上げた野田さんによる「民営化」…

糠谷 英輝 『拡大するイスラーム金融』

アジアの証券市場について勉強する中で、必然的に現れるトピック「イスラム金融」。ここ1、2年の間に日本語の解説書も幾つか出てきたので、一冊ピックアップしてみました。著者は国際通貨研究所主任研究員の糠谷氏。 ・昨今のイスラム金融拡大の要因は? ⇒…

奥田 英信 『ASEANの金融システム 直接投資と開発金融』

先ほどご紹介した『開発金融論』の共著者の一人でもある一橋大学の奥田先生による、ASEANの金融システムについての分析。初版の本の帯にはこう書かれています。 「1997年のアジア経済危機以来、その妥当性が問われている「外資主導工業化」と「金融自由化政…

奥田 英信、生島 靖久、三重野 文晴 『開発金融論』

会社の前任者に強く推薦されて購入。途上国の金融部門についての主だったトピックが、マクロ経済との連関、企業金融、マイクロファイナンス、インフラファイナンスに至るまで、幅広く取り上げられています。一般向けの本というよりは学術書ですが・・・。 そ…

神野 直彦 『財政学 改訂版』

東京都税制調査会会長も務めた東京大学の財政学者・神野先生による財政学の入門書。 「はじめに」で書かれているように、財政とは社会・経済・政治が有機的に絡み合う「境界線上の領域」。 章立ては以下のとおり。大学の学部生や財政に関わりのある一般社会…

ラニー・エーベンシュタイン 『最強の経済学者 ミルトン・フリードマン』

「ケインズ理論を葬った」自由主義者・貨幣主義者にして経済学の巨人、ミルトン・フリードマン(1912~2006)の伝記。生前の本人、関係者へのインタビューによって構成されています。 大きな政府と小さな政府、言い換えれば市場と政府のバランスが今までにな…

川村 雄介 監修・著 『アジア証券市場と日本』

日本証券経済研究所が主催した「アジア資本市場研究会」メンバーによる、第1クルー(2005~2007)の研究成果をまとめた本。東アジア・東南アジア・インドの証券市場の概観(発行・流通規模、市場プレイヤー、監督機関、現状と課題Etc.)を大まかにつかむう…

雁屋 哲、花咲 アキラ 『美味しんぼ』

いわずと知れた日本の「食」漫画の金字塔、『美味しんぼ』。 先日ついに102巻「至高と究極の行方」が発刊され、至高と究極、双方が「相手を喜ばせる朝・昼・夜の膳」をテーマに対決し、ついに海原雄山と山岡士郎が和解します。中川やチヨによって語られる…

細谷 功 『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』

現在ベストセラーになっている経営コンサルタント・細谷さんによる「地頭力」についての本。 情報過多の時代にあって、そもそも「地頭で考える力」の大切さが相対的に増してきていることを、誰しもが感じているのだと思います。 よくまとまっており、スキル…

鹿野 嘉昭、酒井 良清 『金融システム』

先日ご紹介した『金融論をつかむ』の著者でもある鹿野先生、酒井先生による、その名のとおり「金融システム」についてのテキストブック。好評のため2006年に第3版が発刊されています。 金融システムとは「金融取引の円滑な遂行の確保・維持を目的として構成…

江川 由紀雄 『サブプライム問題の教訓 証券化と格付けの精神』

1990年代から一貫して市場関係者の立場から証券化商品の組成、格付けに携わってきた江川さんによる証券化・格付け・サブプライムローン問題に関するエッセイ。出版時期は2007年12月、サブプライムローン問題が世界中で深刻化していた時期に、タイミングよく…