2012-01-01から1年間の記事一覧
映画「ホテル・ルワンダ」で有名な、ミル・コリン・ホテル(Hôtel des milles collines)のジェノサイド当時の支配人、ポール・ルセサバギナ氏が、ジェノサイド当時の当時の様子を綴った自叙伝。 映画の方は、わずか2時間ということもあり細部が端折られが…
元シンガポール外交官で現リー・クアンユー公共政策大学院院長のマブバニ氏が、世界秩序における西欧の価値観への偏りに警鐘を鳴らし、非西欧(アジア)的視点を取り込むよう主張を展開する本。 マブバニ氏の問題意識は、現代の西欧諸国がもつ「世界人口の12…
1996年から2007年まで宮内庁で侍従長を務めた渡邉氏が、現在の今上天皇・皇后両陛下の公務や生活、人となりについて、多くのエピソードを交えて紹介する本。 本書冒頭で紹介される、平成10年の天皇誕生日に際しての天皇陛下発言:「この(日本国憲法の)規定…
なぜ日本には数百年も続く老舗企業が多いのか、ジャーナリスト/拓殖大学教授の野村氏が、多くの国内老舗企業経営者へのインタビューを交えつつ、その実相を紹介する本。 日本は他国と比べ、いわゆる「老舗企業」の数が多いとされる。本書によれば、573年に…
マッキンゼーと投資銀行を経て、SAPやルイ・ヴィトンの日本法人社長を務めた藤井氏が、日本人にグローバルマインドへの転換を解いた本。 全体を貫くメッセージは、日本人が陥りがちな「正解への呪縛」を捨て、異なる文化や価値観と交わり、リスクをとってチ…
漫画家・ヤマザキ氏が、現代日本にタイムスリップしてしまった古代ローマ帝国の浴場技師・ルシウスの活躍を描くコメディー漫画。飛行機の中で観た映画版がけっこう面白かったので、原本も買って読んでみた。 ローマの伝統と誇りを何より大切にするお固い技師…
『ローマ人の物語』全15巻のうち、ローマの衰亡期にあたる、マルクス・アウレリウス帝の治世から西ローマ帝国滅亡直後までを描く。 第XI巻『終わりの始まり』は、五賢帝の最後マルクス・アウレリウス(161年即位)から皇帝セプティミウス・セウェルス (211…
『ローマ人の物語』全15巻のうち、初代アウグストゥスから五賢帝の四人目アントニウス・ピウスまで初期帝政下のローマを描く。X巻は、ローマ人が後世に残した数々のインフラに特記して解説する。 第VI巻『パクス・ロマーナ』は、カエサルの遺志を次いで帝政…
作家・塩野氏による古代ローマの通史『ローマ人の物語』。学生のときに途中まで読んで挫折していたものを、ちまちま読み続けてようやく読破。単行本で全15巻とさすがに大著なので、建国から帝政移行までのI~V巻、帝政下で世界国家を実現したVI~X巻、その衰…
フランスとアフリカ諸国の裏の関係「フランサフリック」について、その経緯とメカニズムを克明に描き出した、フランスの市民活動家による告発の本。 フランスとアフリカ各国の強いつながりの一つが軍事協定/軍事協力協定であり(http://blogs.yahoo.co.jp/s…
フランスにおける奴隷制の廃止と植民地主義の推進が、「文明化」の名の下に同時に行われた矛盾について論じた本。 平野氏によれば、帝国主義時代のフランスにおける「文明化」という言葉は、市民革命の理念の伝播であり、様々な思想的意味合いを許容するもの…
社会学者のジョリヴェ氏が、フランスにおける移民の実状と苦悩を、多くのインタビューや取材をもとに描き出した本。 数々のインタビューを終えて、ジョリヴェ氏は、仏国内の移民への批判に対し、「移民はフランス人のパンをむさぼり食ってなどいない」「闇で…
社会学者の薬師院氏が、日本における民主主義の議論を深めるべく、アメリカ型自由主義ではない、フランス型の平等主義に基づく民主主義の実状を紹介する新書。 本書の前半部は、日本の戦後民主主義が抱えてきた矛盾を明らかにすることに力点が置かれる。欧米…
元産經新聞のパリ支局長である山口氏が、福島第一原発後のフランスメディアの反応や、フランスの原子力事業と当局による安全面の取り組みについて紹介する新書。 フランス原子力安全院のトップによる「原発事故は決して排除できない。これがわれわれのあらゆ…
マクロ経済学者の齊藤氏が、福島第一原発の事故をきっかけとして、経済学・経営学の視点から原発事業の妥当性を論じた本。 同氏の問題意識は、たとえ新規原発の建設を止めたとしても、既存原発の維持管理、運転終了後の解体、放射性廃棄物の処理・貯蔵などで…
米原氏が、自身のソビエト学校時代の経験を下敷きに綴った、自身初のフィクション。主人公である元ダンサーの志摩が、ソ連崩壊後のモスクワで、プラハのソビエト学校時代に教わった舞踊教師オリガ・モリソヴナのルーツを辿っていく。 エンターテイメントであ…
露語通訳・エッセイストとして知られた米原氏のノンフィクション。同氏が小中学生だった1960年代に一緒に学んだ、プラハのソビエト学校時代の3人の親友たちの軌跡を、ソ連崩壊後に追いかけ、当時は知り得なかった彼女たちの真実にたどり着く。『不実な美女…
来春の映画公開も決まっている、百田氏のデビュー作にしてミリオンセラー。本書の名前だけは知っていたが、友人に貸してもらって読んだところ、あっという間に引き込まれて読了。 主人公である司法試験浪人生が、亡くなった祖母の前夫(血のつながった自分の…
東野氏の「ガリレオ」シリーズ、『容疑者Xの献身』(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/30784376.html )に次ぐ2作目の長編。文庫化されたのを機に買ってみた。 一旦は迷宮入りかと思われた事件が、湯川のギリギリとした論理的な推理と草薙の地道な足取り捜…
マッキンゼー社が取りまとめた、50名以上の内外の識者による東日本大震災以後の日本のあり方についての提言集「Reimagining Japan: The Quest for a Future That Works」の邦訳編集版。ビル・エモットやジョン・ダワー、エズラ・F・ヴォーゲルといったおなじ…
前回紹介した「インドの衝撃」の続編として2008年7月に放映されたNHKスペシャルの内容を単行本化したもの。今回は、インド国内の貧困層向けビジネス、インド企業による日本の製薬企業の買収を通じてみるインド流経営の実態、世界に股をかける印僑パワーの3点…
2007年に放映されたNHKスペシャル「インドの衝撃」の内容を単行本化したもの。現代インドの多様な側面のうち、経済発展を支える人材育成、11億人の消費パワー、外交大国としての政治力の3点を取り扱う。 21世紀はアジアの世紀である、と言われて久しい。その…
全インド仏教徒の指導者として、不可触民解放と仏教復興に尽力する日本人・佐々井秀嶺氏の半生を綴った伝記。 当方はインドや仏教の方面についてとんと疎いこともあって、先日インドフリークの同僚から本書の存在を教えてもらって初めて佐々井氏の存在を知っ…
サッカー記者の西部氏が、豊富な図表を使ってFCバルセロナの戦術を解説した単行本。 2011年夏に行われた欧州CL決勝(対マンチェスターU)を見ても、つい先月日本で行われたクラブW杯の決勝戦(対サントス)を見ても、現代サッカーにおいてFCバルセロナが世界…
ウォール・ストリート・ジャーナル紙で長年にわたって農業・食糧・アフリカの問題の取材を続けてきたサロー、キルマンの両氏が、現代のアフリカの飢餓の実態に迫ったルポルタージュ。 現代における飢餓のメカニズムを端的に示そうとする本は少なくないが、そ…
あけましておめでとうございます! さてさて、新年1本目は、ラテンアメリカとアジアにおける「緑の革命」の立役者でノーベル平和賞受賞者の故・ボーローグ博士の伝記。 「緑の革命」という言葉を聞いた事はあるものの、それが実際に起こったのは当方が生ま…