Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャック・アタリ 『国家債務危機 ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』

『21世紀の歴史(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/19050159.html )』等で知られるアタリ氏が、過去の歴史を紐解きながら、世界の公的債務問題に対する現状と対策をまとめた単行本。原著は2010年5月発行。 『21世紀の歴史』で見られた、関連する過去の歴史…

司馬 遼太郎 『燃えよ剣』

新撰組副長にして後の幕臣、齢35にして函館で命を散らした豪傑・土方歳三の生涯を描いた長編小説。 本書で描かれる土方の生涯はまさに激烈で、「豪傑」を地で行くかの如くである。もともと新撰組は攘夷を掲げて発足したにも関わらず攘夷志士を切りまくったと…

高野 和明 『ジェノサイド』

進化した人類の出現に対して現行人類がどう相対するか、人類の限界と希望を対比させて描いたSF仕立てのミステリー小説。 コンゴに突然現れたたった一人の進化した人類を抹殺する米政府の作戦立案者がつぶやいた言葉を引いて、本作のタイトルは『ジェノサイ…

V・E・フランクル 『夜と霧』

ユダヤ人の精神学者であるフランクル氏が、戦時中にドイツの強制収容所に収監された体験を綴った体験記。 収容時の消毒室で、学術書の原稿の保持を侮蔑とともに却下されたときに「それまでの人生をなかったことに」する心理的反応を自らが示したエピソードに…

三島 憲一 『現代ドイツ 統一後の知的軌跡』

ドイツ思想史を専門とする三島氏が、統一ドイツの知的・文化的論争の系譜をたどった新書。 本書は、ドイツ統一が与えた衝撃と人々の苦悩を紹介するところから始まる:「文化の相違ははっきりしていた。能率と迅速さと正確さを尊び、なによりも論争を好む西側…

坂井 榮八郎 『ドイツ史10講』

ドイツ近代史を専門とする坂井氏が、ローマ帝国時代以降のドイツ史を、10章の講義形式でまとめた新書。 個人的にドイツ史の中で昔から釈然としなかったのが、神聖ローマ帝国(862~1806)の位置づけで、特に中世のドイツは領邦制が主軸にあったとされる一方…

原 英史 『「規制」を変えれば電気も足りる 日本をダメにする役所の「バカなルール」総覧』

2009年7月まで公務員制度改革に事務方として関与した政策コンサルタント・原氏による「規制」についての解説本。少なくともここ数十年、日本における「規制改革」の必要性は謳われ続けてきたが、とかく総論が先行しがちなこの分野について、具体的に各論を見…

髙村 薫 『神の火』

過去ソ連に情報を流し続けていた元原子力研究員・島田が、原爆開発の機密情報をめぐる各国の諜報部門の争いに再度巻き込まれ、自らの人生にケリを付けるべく、原子炉圧力容器の蓋を開けるという原発テロを敢行するまでを描いた小説。 髙村氏の初期作品の一つ…

レフ・トルストイ 『アンナ・カレーニナ』

これまで読もうと思っていて読めなかった長編古典小説を読んでみようシリーズその2。 身も蓋もなく一言で言ってしまえば「壮大な不倫小説」なのだが、トマス・マンが「少しも無駄のない、全体の構図も、細部の仕上げも、一点の非の打ち所のない作品」と語っ…