Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

塩野 七生 『日本人へ 国家と歴史編』

塩野氏は、「文芸春秋」誌上で「日本人へ」と題した歯に衣着せぬコラムを続けておられる。その論評をまとめた新書が2冊でた。本書はそのうちの一冊。 ローマ帝国のリーダーを議会内閣制の閣僚に仕立ててみた「夢の内閣・ローマ編」など、思わず苦笑いしてし…

山崎 将志 『残念な人の思考法』

本屋の店頭で見かけた面白そうな新書。自分ではうまくやったつもりが全然うまくいかなかった仕事が最近続いていたこともあり(まさに「残念な人」状態 笑)、そのまま購入。 アクセンチュアから独立した経営コンサルタントの山崎氏が、がんばって仕事をして…

真山 仁 『マグマ 小説国際エネルギー戦争』

真山氏の小説を最近ずっと読んでいる。本作、「国際エネルギー戦争」は少々大げさだと思うが、原子力や水力の陰に隠れて陽のあたることが少ない地熱発電のメカニズムや電源としての可能性に正面から切り込んでおり、なかなか読み応えがあった。 とある地熱発…

真山 仁 『レッドゾーン』

『ハゲタカ』『ハゲタカII』に続く第3弾。主人公・鷲津のかつての右腕・アランの死の謎が、ようやく明らかになる。 今回、鷲津のバイアウトの対象になるのは、自動車業界の雄・アカマ自動車。日本産業界の象徴であるこの大企業に対し、中・米の投資ファンド…

浜田 宏一、若田部 昌澄、勝間 和代 『伝説の教授に学べ!本当の経済学が分かる本』

タイトルが若干走りすぎている気もするが、リフレ派の浜田氏による痛烈な日銀批判。一般的なデフレの理解にも役立つ。 冒頭から、「日本銀行総裁への公開書簡」のなかで「言ってみれば、いまの日本銀行は、金融システム安定化や信用秩序維持だけを心配して、…

保阪 正康 『あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書』

こちらも2005年のベストセラー。特に若い世代にとって、知っているようで意外と知らない太平洋戦争の「仕組み」をざっくり教えてくれる。 統帥権と統治権、軍令と軍政、大本営、参謀本部、軍令部、恩賜の軍刀。耳にしたことはあるものの、正確な定義を知らな…

竹内 一郎 『人は見た目が9割』

本棚に眠っていたのを何気なく手にとってみた5年前のベストセラー。社会人になって改めて読んでみると、みごとコミュニケーションの本質を突いていることが分かる。 米マレービアン博士の研究によれば、人が他人から受け取る情報の割合は「顔の表情:55%、…

真山 仁 『ハゲタカ II』

最近読んだ『ハゲタカ』がかなり面白かったので、続編の『ハゲタカ II』を思わず買ってしまった。聞くところによれば、『ハゲタカ』と『ハゲタカ II』はもともとひとつの長編で、真山氏が書きたかったテーマは『ハゲタカ II』で完結する、という。 今回、主…

ピーター・F・ドラッカー 『知の巨人 ドラッカー自伝』

学生時代の2005年2月、日経「私の履歴書」欄を読むのを毎日楽しみにしていたのを、今でも覚えている。米国・日本はもちろん世界中の経営者に影響を与え続けた「知の巨人」ドラッカー。その波乱万丈の人生は、よく同欄に掲載される国内の経営者の自伝とは趣が…

岩崎 夏海 『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』

いよいよ50万部を超えたらしい今年上半期のベストセラー「もしドラ」。あまりの評判に、書店でついつい手を取ってしまった。 とある事情で高校野球のマネージャーを務めることになった主人公・みなみが、ドラッカーの『マネジメント』を片手に、野球部の「経…

クラウス・ブリンクボイマー 『出口のない夢 アフリカ難民のオデュッセイア』

ドイツ人の著者が、かつてガーナからヨーロッパに移住した経済難民・ジョンとともに、当時の足跡をたどるルポルタージュ。 5年ほど前に西アフリカに住んでいたとき、「生活に窮して小舟でヨーロッパ大西洋に向けて出発し、消息を絶つアフリカ人の数が増えて…

フィリップ・ゴーレイヴィッチ 『ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実』

フリーライターのゴーレイヴィッチ氏が、1994年ジェノサイド直後のルワンダを訪れ、関係者への取材を丹念に重ねて綴ったノンフィクション。ルワンダのジェノサイドを取り扱った本は数あれど、関係者へのインタビューと人間心理への洞察の深さにおいては類を…

武内 進一 『現代アフリカの紛争と国家 ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド』

JETROアジア経済研究所の武内氏による、現代アフリカの紛争の原因は「ポストコロニアル家産制国家」の解体にあるとする論考。 「ポストコロニアル家産制国家」は、①家産制的な性格、②暴力的な性格、③国際関係で獲得した資源を国内統治に利用、④市民社会の侵…

山形 浩生 『新教養主義宣言』

文筆家・翻訳家の山形氏の処女作で、情報、メディア、経済、文化、さまざまな話題について同氏が書き溜めた論考集。同氏の『訳者解説』がかなり面白かったので、この本も購入。単行本として発売されたのは1999年のことだが、内容は古びるどころか、2010年の…

藤巻 忠俊 『黒子のバスケ』

『ONE PIECE』の白ひげ戦争編が終わった今、個人的に今「少年ジャンプ」誌上でもっとも面白いマンガ。 登場人物たちが繰り出す破天荒なプレイの数々は、競技は違えど、同誌で以前連載されていた『テニスの王子様』を彷彿とさせる。気配を消してキラーパスを…

真山 仁 『ハゲタカ』

1990年代末の日本を舞台に、外資系投資ファンド社長の鷲津が、バブル崩壊以後の苦境にあえぐ金融機関・地方企業を相手に企業買収・再生を仕掛けていく経済小説。『ベイジン』が面白かったので、真山氏の代表作といえる本作を出張先に持っていって、帰りの機…

杉山 茂樹 『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』

日本中が熱狂した、サッカーW杯南ア大会日本代表の挑戦が終わった。パラグアイ戦の結果には色々と思うところあれど、国外のW杯で初めてベスト16・PK戦にまでもつれ込むという輝かしい実績を作った選手達をまずは讃えたい。 今大会の日本代表は、大会直前に戦…

横石 知二 『そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生』

先日、「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町の「棚田オーナー制度」を利用して田植えに出かけた。そのとき同町のホテルの売店で購入したのがこの本。「葉っぱビジネス」の仕掛け人として知られる横石氏の自伝である。 横石氏は1979年に同町農協の営農指導…