Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

食と農

中尾 佐助 『栽培植物と農耕の起源』

大阪府立大学教授(当時)の中尾氏が、世界の主な作物品種の起源とその栽培、加工や食法についてコンパクトに概説した新書。 農耕文化というと、農地制度や農耕儀礼など多くの要素を包含するが、本書は「種から胃の中まで」、純粋に作物と農業に関連する部分…

山下 一仁 『農業ビッグバンの経済学 真の食料安全保障のために』

元農水官僚の山下氏が、既存の農政の問題点を指摘、減反廃止や一定規模の主業農家支援を軸とした構造改革の方向性を示した本。 本書の主張は、冒頭に記載されているこの一文に集約される: 「減反(生産調整)を段階的に廃止して米価を下げれば、コストの高…

柴田 明夫 『コメ国富論 攻めの農業が日本を甦らせる!』

丸紅経済研究所の柴田氏が、コメの大増産、そのための農政の転換の必要性を訴える本。 同氏は、主に逼迫する世界の穀物需給、コメ農家の後継者不足、耕作放棄地の増加などを背景として、食糧自給率の増加、つまりコメの「大増産」は、待ったなしの課題である…

財部 誠一 『農業が日本を救う こうすれば21世紀最大の成長産業になる』

経済ジャーナリストの財部氏が、生産・流通の先進事例への取材を通じ、日本農業のポテンシャルとあるべき方向性を論じた本。 同氏は本書で、消費者の視点をもって優れた農業ビジネスを展開している経営者や主業農家に着目、彼らがより容易に農地を借りられる…

暉峻 衆三 編 『日本の農業150年 1850~2000年』

農業経済学者の暉峻氏をはじめとする学識者グループが、日本の過去150年の農業史を概説した本。 本書に沿って、各々の時代の農業の特徴を大まかに要約すると、以下のようになる。 1 明治初期:租改正と秩禄処分を通じた旧領主階級の解体、その後の松方デフ…

石川 拓治 『奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』

ジャーナリストの石川氏による、青森県の農家・木村秋則氏が無農薬・無施肥でのリンゴ栽培に成功するまでの半生を描いたノンフィクション。 この本を最初に読んだのは今から5年ほど前だが、今回ふとした機会に改めて読んでみた。いまや木村氏とそのリンゴの…

川島 良彰 『コーヒーハンター 幻のブルボン・ポワントゥ復活』

世界各地のおいしいコーヒーを追い求めるコーヒーハンターとして知られる川島氏が、レユニオン島の幻のコーヒー「ブルボン・ポワントゥ」を復活させた経験を中心に、自らの半生を描いた本。 川島氏の略歴の詳細は上記のリンクを見てもらえば良いが、高校卒業…

オーギュスト・エスコフィエ 『エスコフィエ自伝 フランス料理の完成者』

近代フランス料理を確立した名料理人、オーギュスト・エスコフィエ氏の自伝。 19世紀から20世紀に至る激動のフランスにあって、今日のフランス料理の基礎を形作るさまざまなレシピを考案したほか、フランス料理の興隆につとめ、英国王や独皇帝からも愛された…

ジョエル・ロブション 『ロブション自伝』

現代フランス料理の旗手、史上最短でミシュラン三ツ星に輝いたジョエル・ロブション氏の自伝。 1980年以降のフランス料理は、ヌーベル・キュイジーヌの後を受け、素材の味を活かしながらも、古典への回帰と最新の調理技術を特徴とした、いわゆる「キュイジー…

レオン・ヘッサー 『ノーマン・ボーローグ 緑の革命を起こした不屈の農学者』

あけましておめでとうございます! さてさて、新年1本目は、ラテンアメリカとアジアにおける「緑の革命」の立役者でノーベル平和賞受賞者の故・ボーローグ博士の伝記。 「緑の革命」という言葉を聞いた事はあるものの、それが実際に起こったのは当方が生ま…

G・ブルース・ネクト 『銀むつクライシス 「カネを生む魚」の乱獲と壊れゆく海』

2003年に実際に起きたマゼランアイナメ(銀むつ)密漁船とオーストラリアの巡視船による壮絶なデッドヒートを芯に据え、人々が如何にこの魚に殺到し乱獲していったかを、サスペンス小説さながらの構成とスピーディな筆致で描いた、ウォール・ストリート・ジ…

サーシャ・アイゼンバーグ 『スシ エコノミー』

アメリカ人ジャーナリストのアイゼンバーグ氏による、14カ国での取材を通じた、寿司ビジネスとそこから見えるグローバル経済の姿を綴ったノンフィクション。 当方が住んでいるパリにも沢山の寿司屋があり、自宅近くには回転寿司屋まである。といっても、回っ…

米原 万理 『旅行者の朝食』

今更ながら、しかも何故かパリで、米原万理にはまっている。本書は、大変なグルメでも知られる同氏の、世界各地の料理についてのエッセイをまとめた文庫。 米原氏が古今東西で出会った美味・珍味の数々は、読んでいて思わず涎が出そうになるほどおいしそうで…

佐藤 真 『パリっ子の食卓 四季の味90皿』

1979年の創刊以来パリの在留邦人にとって欠かせない情報収集ツール・日本語新聞「OVNI」の編集者である佐藤氏が、同紙に毎回掲載しているフランス料理レシピ90品をまとめた本。 フランス料理と聞いて、日本に暮らす普通の人はまず「敷居が高い」と思ってしま…

朽木 ゆり子 『マティーニを探偵する』

「カクテルの王様」と呼ばれるマティーニ(http://apl.suntory.co.jp/wnb/cocktail/recipe/martini/index.html )。その起源や変遷、アメリカ文化での位置づけを丁寧に追ったのが本書。 マティーニじたいはジンとベルモット(フレーバーワインの一種)を混ぜ…

西尾 道徳、西尾 敏彦 『図解雑学 農業』

一昨年、農業について一から勉強しようと思い、何気なく書店で手に取ったのがこの本。タイトルに「雑学」と書いてあることだし、じつはあまり内容に期待せずに購入したものの、良い意味で裏切られた。 農業の歴史と形態、主な作物・家畜の品種紹介、水稲や主…

横石 知二 『そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生』

先日、「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町の「棚田オーナー制度」を利用して田植えに出かけた。そのとき同町のホテルの売店で購入したのがこの本。「葉っぱビジネス」の仕掛け人として知られる横石氏の自伝である。 横石氏は1979年に同町農協の営農指導…

岩村 暢子 『変わる家族 変わる食卓 真実に破壊されるマーケティング常識』

広告代理店アサツーディ・ケイのプロジェクトを通じ、1960年以降生まれの主婦を対象として日本の家庭の食卓について調査を続けている岩村氏による同調査の報告。調査の対象となった食卓の数は2331。 『美味しんぼ』で紹介されていて思わず買ってしまった本で…

塩見 直紀 『半農半Xという生き方』

「半農半X」というキーワードを提唱して活動している塩野さんの2003年の単行本を新書化。この機会に本屋に購入しました。 ・「半農半X」とはなにか? ⇒「小さな暮らし」と「充実感ある使命」。 最低限食べていけるだけの主食や野菜を栽培しつつ、残りの時間…

瀧井 宏臣 『農のある人生 ベランダ農園から定年帰農まで』

早稲田、NHKを経てルポライター。瀧井さんによる現代人のための「農業のある」人生の指南。各地の取り組みを描きます。 ・農業へのかかわり方にはどのようなものがあるか? ⇒ベランダ農園、農業体験農園、山岳地域のクラインガルテン、週末農民、「半農半X」…

安部 司 『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』

『美味しんぼ』で取り上げられていたので即買いシリーズその1。 もと食品添加物商社に勤めたトップセールスマン・安部さんが明かす食品製造の舞台裏が、赤裸々につづられています。 安倍さん自らが廃棄寸前のくず肉に添加物をぶち込んで作ったミートボール…

赤峰 勝人 『ニンジンから宇宙へ』

完全無農薬・化学肥料をまったく使わない有機農法を20年かけて実践・完成させ、「循環農法」の草分けとして知られる大分県の「百姓」赤峰さんの、日本の食と農についてのメッセージをまとめた本。 先日、吉祥寺にある農園のワークショップに参加したときに…