Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2015-01-01から1年間の記事一覧

根本 祐二 『朽ちるインフラ』

元政策投資銀行・東洋大学教授の根本氏が、日本の老朽化しつつあるインフラの現状と課題、その対策をまとめた本。 ここ最近、老朽化する公共施設やインフラ(道路、橋梁、上下水道等)の問題がマスコミでも指摘されている。中央自動車道の笹子トンネル天井版…

網野 善彦 『「日本」とは何か』

歴史学者の網野氏が、講談社「日本の歴史」シリーズの第一弾として、これまでの学術的成果をもとに、日本という国のルーツを論じた本。 網野氏は本書を通じて、いわゆる進歩史観的な従来の日本の捉え方に絶えず疑問を投げかける。第二章では、日本列島がいわ…

佐藤 智恵 『世界最高MBAの授業』

世界トップのビジネススクールで教えられている授業の内容を、各スクール卒業生の日本人が振り返るダイジェスト形式で紹介する本。 本書によれば、ビジネススクールのカリキュラムは、ハードスキル(会計や財務等の専門知識)、ソフトスキル(リーダーシップ…

杉森 久英 『天皇の料理番』

大正から昭和時代にかけて宮内庁の主厨長を務めた秋山徳蔵氏をモデルとして、「天皇の料理番」の生涯を描いた小説。 先ごろ佐藤健主演でドラマ化され、思わず毎週見てしまったので、原作も読んでみた。何をやっても続かないかんしゃく持ちの主人公・篤蔵は、…

フョードル・M・ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』

気質も思想も異なるカラマーゾフ家の3兄弟が織りなす人間模様のなかに、神と信仰、家族と愛、様々な問題を織り込んで描いたドストエフスキーの代表作。 物語の中心となるのは、情熱的で豪放磊落なドミートリィ、知性派の無神論者のイワン、純粋無垢の修道者…

シルビア・レーケン 『内向型人間のための人生戦略大全』

ドイツのコミュニケションコーチ・セミナー講師のレーケン氏が、「内向型人間」が生活や仕事をうまく乗り切って行くための実践的な方法を紹介する本。 レーケン氏は「内向的人間」を、他人との接触からエネルギーを得る外向型人間とは対照的に、他人と接触す…

ジェラール・プルニエ 『From Genocide to Continental War』

フランスの歴史家プルニエ氏が、ルワンダのジェノサイドに端を発するアフリカ大湖地域の動乱の推移と展望を論じた本。 同氏は、一連のコンゴ戦争を、冷戦終結に伴う新たなアフリカ史の始まりとして位置づける。それまでアフリカ諸国の戦争は冷戦下のイデオロ…

ジェラール・プルニエ 『The Rwanda Crisis: History of a Genocide』

フランスの歴史家プルニエ氏が、ルワンダのジェノサイド直後の時期に、その背景と経過、その後の展望を分析した本。 ルワンダのジェノサイドについて書かれた本は数多あるが、その中でも本書はその背景と経過をもっとも初期に分析した本。この分野では必読の…

ジェイソン・スターンズ 『Dancing in the Glory of Monsters』

アフリカ大湖地域の専門家であるスターンズ氏が、関係者インタビューや現地取材を通じ、二度にわたったコンゴ戦争の経過を読み解くノンフィクション。 1990年代のコンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)はまさに激動。30年以上に渡り圧政を強いて来たモブツが…

ミハイル・ゴルバチョフ 『ゴルバチョフ回想録』

ソ連共産党最後の書記長、最初で最後のソ連大統領だったゴルバチョフ氏による回顧録。 同氏の回顧録はその後何冊も出ているが、本書はそのうちもっとも包括的なもの。単行本で上・下巻、1500ページを超える長さで、第一部は生い立ちから書記長になるまで、第…

アーチー・ブラウン 『ゴルバチョフ ファクター』

ソ連史研究の第一人者であるオックフフォード大学のブラウン氏による、ソ連末期の変革にゴルバチョフが果たした役割について論じる本。 ブラウン氏は、ロシアや西欧の一部で今なお見られるゴルバチョフの業績に対する批判を踏まえた上で、その政治家・変革者…

ヴィクター・セベスチェン 『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』

ハンガリー生まれのジャーナリスト・セベスチェン氏が、関係者の証言や最新の関係資料をもとに、1989年東欧での民主化革命がどのように起きたかを多角的に描いたノンフィクション。 本書で取り上げられるのは、東ドイツ、チェコスロバキア、ポーランド、ハン…

岩田 靖夫 『ヨーロッパ思想入門』

哲学研究者の岩田氏が、ヨーロッパ思想の源流であるギリシア思想とヘブライ信仰、それらが近現代の西洋哲学に与えた影響について解説した新書。 岩田氏は、ヨーロッパ思想は「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」という2つの礎石から成っているとし、前者…

『新約聖書』

イエス・キリストやその使途たちの言行がまとめられた、『旧約聖書』と並ぶキリスト教の正典。その一部(福音書)はイスラム教の啓典でもある。 例によって新約聖書の構成を大まかに述べると、以下のとおり: 1 福音書:マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる…