Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

旧ソ連

大木 毅 『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

戦史・軍事史事著述家の大木氏が、最新の史料に基づいて第二次大戦中の独ソ戦を解説した新書。 独ソ戦は、スターリンの錯誤、ヒトラーとドイツ軍の楽観により始まった。当初ドイツの電撃戦は成功に見えたが、ソ連軍の抵抗と補給路の延伸より、ドイツ軍は徐々…

アレクサンドル・ソルジェニーツィン 『イワン・デニーソヴィチの一日』

スターリン体制下のソ連強制収容所での一日を描写した、文豪ソルジェニーツィンの処女作。 主人公のシューホフ(イワン・デニーソヴィチ)は、ドイツ軍の捕虜になった咎で強制収容所(ラーゲリ)での生活を余儀なくされる。収容所での生活は著者の実際の経験…

逢坂 冬馬 『同志少女よ、敵を撃て』

第二次大戦中の独ソ戦を舞台に、家族を奪われ復讐心に燃える女性狙撃兵セラフィマの成長と葛藤を描く。 ドイツ兵に家族と古郷を奪われたセラフィマは、狙撃手の過酷な訓練に耐え、戦場で仲間の死を乗り越えながら戦果を重ねる。ソ連軍もドイツ軍と同じように…

ミハイル・ゴルバチョフ 『ゴルバチョフ回想録』

ソ連共産党最後の書記長、最初で最後のソ連大統領だったゴルバチョフ氏による回顧録。 同氏の回顧録はその後何冊も出ているが、本書はそのうちもっとも包括的なもの。単行本で上・下巻、1500ページを超える長さで、第一部は生い立ちから書記長になるまで、第…

アーチー・ブラウン 『ゴルバチョフ ファクター』

ソ連史研究の第一人者であるオックフフォード大学のブラウン氏による、ソ連末期の変革にゴルバチョフが果たした役割について論じる本。 ブラウン氏は、ロシアや西欧の一部で今なお見られるゴルバチョフの業績に対する批判を踏まえた上で、その政治家・変革者…

ヴィクター・セベスチェン 『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』

ハンガリー生まれのジャーナリスト・セベスチェン氏が、関係者の証言や最新の関係資料をもとに、1989年東欧での民主化革命がどのように起きたかを多角的に描いたノンフィクション。 本書で取り上げられるのは、東ドイツ、チェコスロバキア、ポーランド、ハン…

佐藤 優 『交渉術』

元外交官の佐藤氏が、自身の経験を紐解きつつ、人間の欲望とそれに拠った交渉の技法を明らかにした本。 自身の外交官時代の経験を紹介しつつ、ハニートラップや賄賂、酔い潰しといった「戦術」のあるべき使い方について考えを述べるが、現役外交官ならまだし…

米原 万理 『ロシアは今日も荒れ模様』

伝説的な日露通訳でエッセイストの米原氏による、ロシアとロシア人をユーモアたっぷりに描いたエッセイ集。 寝ても覚めてもウォッカに飲まれる悲しいロシア男たちの実態、ゴルバチョフやエリツィンといった指導者たちの素顔、通訳時代の実話から説くロシア人…

NHK「新シルクロード」プロジェクト 編著 『新・シルクロード 激動の大地をゆく 上』

NHKのドキュメンタリーには、「さすが」と思わされる珠玉の作品が幾つもあります。最近では、今年はじめに完結した「沸騰都市」が秀逸。 今回紹介するのは、2007年に放映された「新シルクロード 激動の大地をゆく」の単行本の上巻。中央アジア、コーカサ…

佐藤 優 『国家の崩壊』

前出の休職中外交官・佐藤氏によるソ連崩壊過程を主に理論面から分析したエッセイ。宮崎学氏がインタビュアー役となり、その質問に佐藤氏が回答していく形式です。 政治・外交の理論的な側面に加え、当時モスクワに駐在し保守派・急進派ともに深い現地人脈を…

佐藤 優 『自壊する帝国』

かつて「外務省のラスプーチン」と呼ばれた、『国家の罠』で知られる作家・佐藤氏のモスクワ時代の回顧録、新潮文庫になって先月発行されたので本屋でつい購入。 自身の専門である神学を武器にモスクワの政治エリート・高官・知識人らの人脈に入り込み、1991…

池本 修一ほか 編著 『グローバリゼーションと体制移行の経済学』

中東欧や中央アジア・コーカサスといった旧社会主義諸国の体制移行プロセスについて、グローバル化する世界経済とのかかわりのなかで実証的な分析をおこなった15名の移行経済学研究者の方々による論文集。 仕事がら体制移行国の経済発展やグローバリゼーショ…

廣瀬 陽子 『コーカサス 国際関係の十字路』

コーカサス地域(カスピ海と黒海に挟まれたユーラシア大陸のど真ん中)研究で知られる研究者・廣瀬先生の新刊。一般向けの新書とあって、帯にあるとおり「日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか」、とくに民族紛争、天然資源、対外関係(…

宇山 智彦 編著 『中央アジアを知るための60章』

今の仕事で何かと関わることの多い中央アジアですが、恥ずかしながら、最近に至るまで「あまり良く知らない」地域のひとつでした。さすがにまずいと思い、入門書として購入したのがこの一冊。同地域の社会や文化、政治、経済について、各国ごとに、ときに横…