Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

サーシャ・アイゼンバーグ 『スシ エコノミー』

アメリカ人ジャーナリストのアイゼンバーグ氏による、14カ国での取材を通じた、寿司ビジネスとそこから見えるグローバル経済の姿を綴ったノンフィクション。 当方が住んでいるパリにも沢山の寿司屋があり、自宅近くには回転寿司屋まである。といっても、回っ…

ポール・クルーグマン 『クルーグマン教授の経済入門』

1994年に第1版が発行された、当時MIT教授のクルーグマン氏による、アメリカ経済の諸問題の解説書。生産性、所得分配、雇用と失業、貿易赤字、インフレ、ヘルスケア、財政赤字、金融政策、ドル、貿易、日本問題。既に第1版発行から15年以上が経過したが、米国…

村田 良平 『OECD(経済協力開発機構) 世界最大のシンクタンク』

外務省の高官としてOECDに長く関わった村田氏が、OECDの生い立ちや業務についてコンパクトにまとめた新書。 日本でも報道や政府統計などで頻繁に名前を目にするOECDだが、そのメカニズムを包括的に知っている方は案外少ないのではないか。「金持ちのサロン」…

米原 万理 『ガセネッタ&シモネッタ』

こちらは、米原氏が通訳としての仕事をされる中で体験したエピソードを中心に綴ったエッセイ。かつて一緒に仕事をさせていただいた露語通訳の方は「米原さんが露語通訳の業界をメジャーにした」と仰っていたが、本書を読んでその正しさを改めて実感した。 通…

米原 万理 『旅行者の朝食』

今更ながら、しかも何故かパリで、米原万理にはまっている。本書は、大変なグルメでも知られる同氏の、世界各地の料理についてのエッセイをまとめた文庫。 米原氏が古今東西で出会った美味・珍味の数々は、読んでいて思わず涎が出そうになるほどおいしそうで…

セルジュ・ミッシェルほか 『アフリカを食い荒らす中国』

『ルモンド』紙のミッシェル氏、『レブド』誌のブーレ氏らによる、現代の中国・アフリカ関係を抉るルポルタージュ。目まぐるしく移り変わる舞台の隅々まで理解するには予備知識のない読者は少々厳しいかもしれないが、単なる情勢報告に留まらず変化する中国…

白戸 圭一 『日本人のためのアフリカ入門』

『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/33575979.html )』で知られる毎日新聞記者の白戸氏による新刊。 アフリカを知るための入門書という触れ込みで世に出る新刊は、最近とみに増えている。今回白戸氏が同様の…

読売新聞中国取材団 『メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾』

現代中国の膨張と矛盾、その世界各地での影響をルポした読売新聞の連載をまとめた新書。 現代中国の爆発的なエネルギーについては今更語るまでもないが、本書を読んで改めてほうと思ったエピソード; ・中国企業はテロのリスクを承知で、アフガニスタンでも…

塩野 七生 『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』

高校のときに読んだ世界史の教科書には、やたらヴェネツィア共和国の名前が登場した。現在でこそ運河と観光業で有名な一都市に過ぎない小国のヴェネツィアが、なぜ中世の地中海史において卓越した存在感を発揮できたのか、経済にも歴史にも疎かった当時は理…

魚住 昭 『渡邉恒雄 メディアと権力』

日本のマスコミ業界に君臨する、現読売新聞グループ本社代表取締役会長兼主筆の渡邉氏の半生を描いた評伝。 日本のマスコミは伝統的に権力に近い場所に位置して来、またその権勢の大きさから、行政・立法・司法に次ぐ「第四の権力」などと称されてきた。渡邉…

魚住 昭 『野中広務 差別と権力』

ノンフィクション作家の魚住氏による、一時「影の総理」とまで言われた野中元官房長官の半生を描いたルポルタージュ。2006年に文庫化されたばかりだが、既に古典の域に達していると言っていい。 唐突だが、高村薫の『レディ・ジョーカー(http://blogs.yahoo…

鎌田 慧 『日本の原発危険地帯』

ジャーナリストの鎌田氏が、原発地帯を直に歩き、住民や自治体が原発を受け入れていった経緯を明らかにする。初版発行は1982年だが、今回の福島原発事故を機に緊急改版されたもの。 これまで何となく知っていた国・事業会社による原発推進攻勢の実態を本書で…

内田 樹 『下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち』

哲学者の内田氏による、昨今の子どもたちの学びからの逃避、若者たちの労働からの逃避について、自身の考えをまとめた本。2005年に三浦展氏が『下流社会』という新書を出してベストセラーになったが、本書はタイトルからしてより刺激的。単に「下流」に転落…

原 雅裕 『西アフリカの教育を変えた日本発の技術協力』

ニジェールで2004~2006年にかけて実施された日本の技術協力「みんなの学校プロジェクト(住民参加型学校運営改善計画)(http://www.jica.go.jp/project/niger/6331038E0/ )」のチーフアドバイザー・原氏の記録。 2003年にニジェール政府と世界銀行によっ…

世界銀行 『World Development Report 2008: Agriculture for Development』

世界銀行が毎年発行している世界開発報告(World Development Report)の2008年版、テーマは「開発のための農業」。開発のうえで農業がもつポテンシャルをデータで示した上で、貿易・価格・補助金政策、農業の市場化、自作農の競争力強化、科学技術の適用、…

髙村 薫 『リヴィエラを撃て』

髙村薫の4作目にあたる長編小説。謎のコードネーム「リヴィエラ」を巡る元IRAのテロリストと各国情報機関の死闘を描く。 物語の主軸となるのは、元IRAのテロリスト・ジャック・モーガン、警視庁外事課の手島修一、MI6のエージェントで世界的なピアニスト・ノ…