Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

国際関係

井出 穣治 『フィリピン 急成長する若き「大国」』

元IMF職員としてフィリピンに関わった日本銀行の井出氏が、フィリピンの近年の経済・社会について包括的に紹介する新書。 近年(少なくともCOVID-19の発生前まで)アジアの中でも急激な経済発展を遂げていた、かつての「アジアの病人」フィリピン。他のアジ…

ニーアル・ファーガソン 『憎悪の世紀 なぜ20世紀は世界的殺戮の場となったのか』

『マネーの進化史』で知られるハーバード大学の歴史学者・ファーガソン氏が、「憎悪」をキーワードとして20世紀の戦争・紛争・暴力の歴史を描いた本。 ファーガソン氏は、20世紀、特に1940年代の初期に特定の地域(中部・東部ヨーロッパ、満州や韓国)で集中…

ジャレド・ダイアモンド 『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』

文明の「発展」要因を紐解いた『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』で知られるダイアモンド氏が、今度は文明の「滅亡」要因を分析する本。 ダイアモンド氏は、過去に起こった文明崩壊の要因として、①保有する自然環境・資源の脆弱性、②気候変動に…

ジャレド・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』

生理学と進化生物学、生物地理学を研究するUCLAのダイアモンド教授が、人類史の発展が大陸間で異なる経路をたどってきた理由を分析する本。 ダイアモンド氏は、冒頭の命題に対する答えを、民族間の生物学的差異に帰する通説ではなく、あくまで地理環境的な要…

吉田 一郎 『国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ!』

世界の珍妙な国・地域を紹介するウェブサイト「世界飛び地領土研究会」で知られるジャーナリストの吉田氏が、世界の珍妙な国・地域を紹介する本。 本書では、バチカン市国やナウルといった小国から、アトス山やソマリランドといった常識では判断しづない地域…

英「エコノミスト」編集部 『2050年の世界 英「エコノミスト」誌は予測する』

英「The Economist」誌の編集者たちが、人口、経済、技術、科学といったそれぞれの担当分野について2050年の世界を予測する本。 この手の予測本はかなりの数が発行されていて普段は手にも取らないのだが、同誌のクオリティを知る読者の一人としてついつい購…

ジェフリー・サックス 『地球全体を幸福にする経済学 過密化する世界とグローバル・ゴール』

国連顧問のコロンビア大学教授であるサックス氏が、前著『貧困の終焉』からより一歩進んで、貧困のみならず環境、人口、そしてそれを可能にするグローバルな協調体制といった世界の問題について包括的な処方箋を示そうと試みた本。 前著『貧困の終焉』で同氏…

明石 康 『国際連合 軌跡と展望』

元国連事務次長の明石氏が、国連の歴史や機構、活動について分かりやすく解説した新書。 何度も改訂が重ねられているロングセラーとあって、国連を知るための基礎知識がまんべんなく網羅されており、読みやすい。それはそれで残念な部分でもあるが、明石氏個…

最上 敏樹 『国連とアメリカ』

ロングセラー『人道的介入』で知られる最上氏が、国連とアメリカの関係を国際連盟創設期までさかのぼり、両者の相克、今後の展望をまとめた新書。 最上氏の問題意識は、ブッシュ政権下のアメリカの国連への敵対的な姿勢、より概念的に言えば「帝国」と「多国…

キショール・マブバニ 『「アジア半球」が世界を動かす』

元シンガポール外交官で現リー・クアンユー公共政策大学院院長のマブバニ氏が、世界秩序における西欧の価値観への偏りに警鐘を鳴らし、非西欧(アジア)的視点を取り込むよう主張を展開する本。 マブバニ氏の問題意識は、現代の西欧諸国がもつ「世界人口の12…

村田 良平 『OECD(経済協力開発機構) 世界最大のシンクタンク』

外務省の高官としてOECDに長く関わった村田氏が、OECDの生い立ちや業務についてコンパクトにまとめた新書。 日本でも報道や政府統計などで頻繁に名前を目にするOECDだが、そのメカニズムを包括的に知っている方は案外少ないのではないか。「金持ちのサロン」…

E・H・カー 『危機の二十年 1919-1939』

外交官・歴史家のカー氏が1939年に世に問うた話題作、1981年版の邦訳。第二次大戦前の国際関係を題材としながらも、現代においてもなお、原著の副題にあるとおり国際関係論を学ぶ人々にとって欠かせない古典となっている。 「われわれは、健全な政治的思考の…

ジャン-クリストフ・ヴィクトルほか 『地図で読む世界情勢』

原著は『Le Dessous des Cartes.Atlas geopolitique(地図の下にあるもの、地政学の地図)』。フランス衛生放送テレビ局の番組から派生したいわゆる「地図本」で、2005年の出版後フランスで大好評を博し、2007年に邦訳版が出版された。 二部構成で、第一部…