Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

白戸 圭一 『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』

毎日新聞の白戸氏が、ヨハネスブルク駐在時代の4年間で取材したアフリカ各国のうち、「グローバリズム」と「暴力」をキーワードに、ソマリア、コンゴ民主共和国、ダルフール、ナイジェリアなどでの取材経験を報告する。 欧米のジャーナリストによる優れたア…

アマドゥ・クルマ 『アラーの神にいわれはない ある西アフリカ少年兵の物語』

西アフリカを代表する作家・クルマ氏が、リベリアとシエラレオネの内戦を題材に、架空の少年兵・ビライマの従軍経験を通じて両国の惨劇の様子を語らせるフィクション。 終始スラング口調で読みにくいが、西アフリカの「語り」のリズムをある程度リアルに反映…

リヒャルト・カプシチンスキー 『黒檀』

今まで知らなかったが、カプシチンスキー氏は一時期「ルポルタージュの皇帝」と呼ばれていたらしい。ノーベル文学賞の受賞候補に名前が幾度も挙がった、とも。 自らの取材に基づいた具体的で圧倒的な文章の中に、問題の核心や全体像を的確に織り込ませる。文…

リヒャルト・カプシチンスキー 『皇帝ハイレ・セラシエ エチオピア帝国最後の日々』

先日エチオピアを訪れた際、ハイレ・セラシエ1世が住んでいた宮殿を見学した。「皇帝のトイレが見れる」と聞いて期待して行ったのだが、大して大きくもなく、すごい装飾があるわけでもなく、普通の陶器製の小さな便座だったのが印象的であった。 さて本書は…

岡倉 登志 編著 『エチオピアを知るための50章』

先日、エチオピアに出張する機会に恵まれた。雨季の終わりで、今季は稀に見る降雨量の多さによって、豊作が期待されるとの由。地方の大地は緑に覆われ、首都は建設ラッシュで不動産ブームに沸き、観戦道路も中国の投資によって整備され、まさに経済成長の息…

マーク・ピーターセン 『日本人の英語』

日本在住歴の長い米国生まれの大学教授・ピーターセン氏が、ネイティブの視点から、日本人の英語に対する誤った認識を正す。 さまざまな英語本にお目にかかってきたが、ここまで目からウロコが落ちた本も稀である。同氏は、日本人が書いた一般向けの英語の文…

高橋 洋一 『日本経済のウソ』

日本経済の低迷はデフレによるものであり、その元凶は日銀にある、と明快に説明する本。 「実は日本の景気が悪いのは、サブプライムローン破綻の余波というより、2006-07年の金融引き締めが原因です」と言い切る。日銀がよくデフレの原因としてあげる低成長…

E・H・カー 『危機の二十年 1919-1939』

外交官・歴史家のカー氏が1939年に世に問うた話題作、1981年版の邦訳。第二次大戦前の国際関係を題材としながらも、現代においてもなお、原著の副題にあるとおり国際関係論を学ぶ人々にとって欠かせない古典となっている。 「われわれは、健全な政治的思考の…

E・H・カー 『歴史とは何か』

外交官・歴史家のカー氏が1961年にケンブリッジ大学で行った講演録。 「歴史とは何か」という大きな問いに、冒頭から明確な答えが出されている:「歴史とは(事実の取捨選択を行う)歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽き…