Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

アフリカ

ジェラール・プルニエ 『From Genocide to Continental War』

フランスの歴史家プルニエ氏が、ルワンダのジェノサイドに端を発するアフリカ大湖地域の動乱の推移と展望を論じた本。 同氏は、一連のコンゴ戦争を、冷戦終結に伴う新たなアフリカ史の始まりとして位置づける。それまでアフリカ諸国の戦争は冷戦下のイデオロ…

ジェラール・プルニエ 『The Rwanda Crisis: History of a Genocide』

フランスの歴史家プルニエ氏が、ルワンダのジェノサイド直後の時期に、その背景と経過、その後の展望を分析した本。 ルワンダのジェノサイドについて書かれた本は数多あるが、その中でも本書はその背景と経過をもっとも初期に分析した本。この分野では必読の…

ジェイソン・スターンズ 『Dancing in the Glory of Monsters』

アフリカ大湖地域の専門家であるスターンズ氏が、関係者インタビューや現地取材を通じ、二度にわたったコンゴ戦争の経過を読み解くノンフィクション。 1990年代のコンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)はまさに激動。30年以上に渡り圧政を強いて来たモブツが…

ジャン・ハッツフェルド 『隣人が殺人者に変わる時 加害者編 ルワンダ・ジェノサイドの証言』

ジャーナリストのハッツフェルド氏が、ルワンダのジェノサイドに加害者として関わった人々の証言を集め、再構成した本。 数多刊行されているルワンダのジェノサイド本の中でも、本書は出色。類書ではほとんどカバーされていない加害者側の証言を、丹念に拾っ…

池上 彰「池上彰のアフリカビジネス入門」

池上氏が日経BP社・JICAの企画でアフリカ諸国を往訪、取材した際の記録。 「アフリカビジネス入門」と銘打ってはいるが、じつは大半がJICA事業の紹介。とはいえ主に経済面でのアフリカの現状を分かりやすく知るうえで優れた入門書にもなっている。池上氏の語…

平野 克己 『経済大陸アフリカ 資源、食糧問題から開発政策まで』

『アフリカ問題 開発と援助の世界史』などで知られるアジア経済研究所の平野氏が、現在のアフリカ経済の概況について分かり易くまとめた新書。 アフリカに対する世界からのポジティブな視線は近年とみに顕著であり、2013年に入って英エコノミスト誌は「希望…

鈴木 裕之 『ストリートの歌 現代アフリカの若者文化』

文化人類学者の鈴木氏が、コートジボワール・アビジャンのストリートで見られる若者文化について、自ら現地で体験し、調査した結果をまとめた本。 本書のユニークな点は、鈴木氏自身が「あとがき」で「学術的データと個人的体験の双方を、あるいは両者の中間…

高野 秀行 『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』

『ワセダ三畳青春記』などで知られる作家の高野氏が、ソマリランド、プントランド、そして南部ソマリアで取材した内容を綴ったルポルタージュ。 「これ以上面白いノンフィクションはもう二度と読めない」という帯のキャッチコピーどおり、ソマリアに単身乗り…

P・クリスフリ、A・レドモンド 『Rwanda Inc.』

「アフリカの奇跡」と形容されるジェノサイド以降のルワンダの経済発展と、それを成したカガメ現大統領のリーダーシップについて描いたノンフィクション。 著者は米国人ジャーナリストと経営コンサルタントだけあって、偏ったイデオロギーやややこしい経済理…

友成 晋也 『アフリカと白球』

アフリカ野球友の会の代表である友成氏が、1996年から99年にかけてガーナのナショナル野球チームを監督として率いた経験を描いた本。 同氏がガーナに駐在員として赴任したのが1996年、青年海外協力隊との親善試合で出会った自称ガーナナショナルチームを、ひ…

イマキュレー・イリバギザ 『生かされて。』

ルワンダのジェノサイドを、隣人のトイレで100日間に隠れ生き延びた、ツチ族の少女による手記。 イリバギザ氏は、ルワンダ西部のムタバ村で、地元のツチ族有力者の元に生まれ育ち、1994年のジェノサイドを学生時代に迎えた。虐殺勃発後、兄の機転により、近…

レヴェリアン・ルラングァ 『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』

1994年のルワンダのジェノサイドで、家族全員を殺され、自身も瀕死の重傷を負って生き延びた青年による、自身の半生を描いた手記。 ルラングァ氏は、首都キガリの南方・ムギナの丘で生まれ育ち、15歳の時にジェノサイドに遭遇した。家族親戚とともに小屋の中…

ロメオ・ダレール 『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか PKO司令官の手記』

1994年のジェノサイド当時にルワンダに駐留していたPKOの司令官・ダレール氏による当時の詳細な回顧録。 当時の国連とPKOのルワンダのジェノサイドへの対応については、関係者の間では否定的な見方がもはや定説となっている。当時ホテル・ミル・コリンの支配…

大津 司郎 『アフリカンブラッドレアメタル 94年ルワンダ虐殺から現在へと続く「虐殺の道」』

ジャーナリストの大津氏が、自らの取材体験をもとに、各国によるコンゴの地下資源の争奪という視点からルワンダのジェノサイドから現在に至るコンゴ紛争までの道のりを追った本。 1994年から現在に至るまでこの地域で600万人以上が犠牲になったと言われるが…

ポール・ルセサバギナ 『ホテル・ルワンダの男』

映画「ホテル・ルワンダ」で有名な、ミル・コリン・ホテル(Hôtel des milles collines)のジェノサイド当時の支配人、ポール・ルセサバギナ氏が、ジェノサイド当時の当時の様子を綴った自叙伝。 映画の方は、わずか2時間ということもあり細部が端折られが…

F・X・ヴェルシャヴ 『フランサフリック アフリカを食いものにするフランス』

フランスとアフリカ諸国の裏の関係「フランサフリック」について、その経緯とメカニズムを克明に描き出した、フランスの市民活動家による告発の本。 フランスとアフリカ各国の強いつながりの一つが軍事協定/軍事協力協定であり(http://blogs.yahoo.co.jp/s…

R・サロー、S・キルマン 『飢える大陸アフリカ 先進国の余剰がうみだす飢餓という名の人災』

ウォール・ストリート・ジャーナル紙で長年にわたって農業・食糧・アフリカの問題の取材を続けてきたサロー、キルマンの両氏が、現代のアフリカの飢餓の実態に迫ったルポルタージュ。 現代における飢餓のメカニズムを端的に示そうとする本は少なくないが、そ…

セルジュ・ミッシェルほか 『アフリカを食い荒らす中国』

『ルモンド』紙のミッシェル氏、『レブド』誌のブーレ氏らによる、現代の中国・アフリカ関係を抉るルポルタージュ。目まぐるしく移り変わる舞台の隅々まで理解するには予備知識のない読者は少々厳しいかもしれないが、単なる情勢報告に留まらず変化する中国…

白戸 圭一 『日本人のためのアフリカ入門』

『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/33575979.html )』で知られる毎日新聞記者の白戸氏による新刊。 アフリカを知るための入門書という触れ込みで世に出る新刊は、最近とみに増えている。今回白戸氏が同様の…

「NHKスペシャル」取材班 『アフリカ 資本主義最後のフロンティア』

この2週間、やきもきしながら報道に接していました。東日本大震災で被災された全ての方に、心よりお見舞い申し上げます。 さて本書は、2010年に放送されたNHKスペシャル「アフリカンドリーム(http://www.nhk.or.jp/special/onair/100404.html )」(全3回)…

峯 陽一 編著 『南アフリカを知る60章』

前回紹介した平野氏の「南アフリカの衝撃(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/34077704.html )」はコンパクトに南アの経済・政治を知る上で有用だが、もう少し時間がある方には、社会や対外関係、文化についてもページが多く割かれた本書も薦めたい。発行も…

平野 克己 『南アフリカの衝撃』

恵まれた自然環境、植民地時代以来の優れた人材・技術の蓄積によって地域大国の座を揺るぎないものとしている南アフリカ。アパルトヘイトの混乱期を終え、グローバリゼーションの下で再び大きく羽ばたこうとしている同国の概要をコンパクトに知りたければ、…

平野 克己 『図説 アフリカ経済』

アジア経済研究所の平野氏によるアフリカ経済の概説。現在進行形のアフリカ経済を把握するうえでは同氏の近著『アフリカ問題 開発と援助の世界史http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/30512505.html )』が詳しいが、豊富な図表を用いて1990年代までのアフリカ…

ヴィジャイ・マハジャン 『アフリカ 動き出す9億人市場』

経営学者のマハジャン氏が、消費市場としてのアフリカ大陸の現状と展望についてまとめた本。 アフリカ大陸全体を一つの国とみなせば、その経済規模(GDP総計)はインドを超えてカナダやイタリアに迫る。とくに、爆発的に増えつつある「セグメント2(推定約3…

山本 敏晴 『世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団』

MSF(国境なき医師団)で活躍され、近年は自ら立ち上げたNGO「宇宙船地球号」(http://www.ets-org.jp/ )で活動する山本敏晴氏による、シエラレオネでのMSF派遣経験(2001年~2002年)をつづった本。 同氏は国際協力についての多数の本を出版しておられるが…

白戸 圭一 『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』

毎日新聞の白戸氏が、ヨハネスブルク駐在時代の4年間で取材したアフリカ各国のうち、「グローバリズム」と「暴力」をキーワードに、ソマリア、コンゴ民主共和国、ダルフール、ナイジェリアなどでの取材経験を報告する。 欧米のジャーナリストによる優れたア…

リヒャルト・カプシチンスキー 『黒檀』

今まで知らなかったが、カプシチンスキー氏は一時期「ルポルタージュの皇帝」と呼ばれていたらしい。ノーベル文学賞の受賞候補に名前が幾度も挙がった、とも。 自らの取材に基づいた具体的で圧倒的な文章の中に、問題の核心や全体像を的確に織り込ませる。文…

リヒャルト・カプシチンスキー 『皇帝ハイレ・セラシエ エチオピア帝国最後の日々』

先日エチオピアを訪れた際、ハイレ・セラシエ1世が住んでいた宮殿を見学した。「皇帝のトイレが見れる」と聞いて期待して行ったのだが、大して大きくもなく、すごい装飾があるわけでもなく、普通の陶器製の小さな便座だったのが印象的であった。 さて本書は…

岡倉 登志 編著 『エチオピアを知るための50章』

先日、エチオピアに出張する機会に恵まれた。雨季の終わりで、今季は稀に見る降雨量の多さによって、豊作が期待されるとの由。地方の大地は緑に覆われ、首都は建設ラッシュで不動産ブームに沸き、観戦道路も中国の投資によって整備され、まさに経済成長の息…

宮本 正興、松田 素二 編 『新書アフリカ史』

サブ・サハラアフリカの歴史について日本語の文献を手に取るなら、まずこの本。新書とは思えない600ページの分厚さだが、冗長な記述はほとんどなく、すらすら読める。 「アフリカ社会は、ヨーロッパがイメージした『閉鎖社会』などではなく、地域内部あるい…