Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

アフリカ

北川 勝彦、高橋 基樹 編著 『アフリカ経済論』

北川・高橋両氏によって編纂されたアフリカ経済の現状と展望についての教科書。「歴史のなかのアフリカ経済」「現代アフリカの産業と社会」「国際経済とアフリカ」「アフリカ経済の課題と展望」の4部構成から成り、既存のアフリカ文献が往々にして経済につ…

クワメ・エンクルマ 『新植民地主義』

ガーナ初代大統領クワメ・エンクルマは、前回紹介した『祖国のための自伝(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/33097418.html )』を含む6冊の本を著しており、本書は4冊目にあたる。本書では、アフリカ諸国に君臨する欧米巨大資本の経済的支配の実態が描かれ…

クワメ・エンクルマ 『わが祖国への自伝』

先日日本を訪れていたガーナ高官と夕食をともにした際に、「ニジェールやギニア、象牙海岸といった周りの国々と比べて、ガーナの政治・社会が安定しているのは何故だと思うか」と不躾な質問をしたところ、「建国者のスピリットだ」という答えが返ってきた。…

クラウス・ブリンクボイマー 『出口のない夢 アフリカ難民のオデュッセイア』

ドイツ人の著者が、かつてガーナからヨーロッパに移住した経済難民・ジョンとともに、当時の足跡をたどるルポルタージュ。 5年ほど前に西アフリカに住んでいたとき、「生活に窮して小舟でヨーロッパ大西洋に向けて出発し、消息を絶つアフリカ人の数が増えて…

フィリップ・ゴーレイヴィッチ 『ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実』

フリーライターのゴーレイヴィッチ氏が、1994年ジェノサイド直後のルワンダを訪れ、関係者への取材を丹念に重ねて綴ったノンフィクション。ルワンダのジェノサイドを取り扱った本は数あれど、関係者へのインタビューと人間心理への洞察の深さにおいては類を…

武内 進一 『現代アフリカの紛争と国家 ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド』

JETROアジア経済研究所の武内氏による、現代アフリカの紛争の原因は「ポストコロニアル家産制国家」の解体にあるとする論考。 「ポストコロニアル家産制国家」は、①家産制的な性格、②暴力的な性格、③国際関係で獲得した資源を国内統治に利用、④市民社会の侵…

イシメール・ベア 『A long way gone: Memoirs of a boy soldier』

先日仕事でシエラレオネを訪れた。内戦終結から8年、人々の眼はどことなく憂いを帯びているように見えるものの、首都フリータウンは活気に満ちており、各省庁やドナーの政策にも復興国ならではの勢いが見て取れた。豊かな自然や鉱物資源に恵まれ、今後の急速…

マビヌオリ・K・イドウ 『フェラ・クティ 戦うアフロ・ビートの伝説』

フェラ・クティをご存知の方は日本にどれだけいるだろうか。1970、80年代にジャズやアフリカンミュージックに傾倒した方ならご存知かもしれない。今でも彼の音楽を収めたCDはネットショップやちょっと大きめのレコードショップで手に入れることができる。た…

平野 克己 『アフリカ問題 開発と援助の世界史』

1. 本の紹介 『図説アフリカ経済』等で知られるアジア経済研究所の平野氏による新刊。開発経済学、政治学の視点から、2009年現在のアフリカ問題の深層と、あるべき開発援助事業の姿について提言する。 2. 印象に残ったパート 第3章「アフリカ農業とリカード…

石 弘之 『キリマンジャロの雪が消えていく アフリカ環境報告』

読んだままブログで紹介し切れていない本が100冊近くになってしまいました・・・どうしてもブログを書く時間がなかなか取れないのが悩みです。スピードアップを図るために、試行的に当面の間、①本の概要、②印象に残ったパート、③読後の感想、に絞って書い…

ワリス・ディリー 『Desert Flower』

FGM(女性器切除)の廃絶に向けた運動を続けている元スーパー・モデル、ワリス・ディリー氏の自伝。事実は小説より奇なり。日本人には絶対に書けない文章です。初めて手に取ったのはアジアを旅行中の学生時代、タイの本屋で。当時は英語の文章を読むのが今よ…

ダウド・ハリ 『ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者』

紛争真っ只中のダルフール地域において、CNNやBBCの取材クルーの通訳兼コーディネータとして活躍、世界に同地域の惨状を知らせる活動を続けるダウド・ハリ氏の回顧録。出身の村が政府系民兵に略奪されたエピソード、取材同行中に政府軍に身柄を拘束さ…

桃井 和馬 『観光コースでないアフリカ大陸西海岸』

フォトジャーナリストの桃井氏によるアフリカ西海岸10カ国のルポルタージュ。会社の同僚に借りっぱなしにしてあったものを読了。 タイトルを見てあまり期待しないで読み始めたものの(すみません)、アフリカ各国の社会経済、人々の暮らしがさまざまな側面か…

服部 正也 『ルワンダ中央銀行総裁日記』

1965年から6年間ルワンダ中央銀行の総裁(日銀からIMFへの出向中)を務めた服部氏の当時の回顧録、1972年出版。新潮社の雑誌『FORESIGHT』2008年9月号でアジア経済研究所の平野克己氏によって紹介されており思わずアマゾン購入。 服部氏は当時のルワンダ政府…

ロバート・ゲスト 『アフリカ 苦悩する大陸』

だいぶご無沙汰してしまいましたが、徐々に再開。 英エコノミスト誌の元アフリカ担当編集長のゲスト氏によるアフリカの国々を描いたルポルタージュ。具体的で、包括的。この種の本としては傑出した本だと思います。 邦訳は300ページ強。ナイジェリア、ザンビ…

松本 仁一 『アフリカ・レポート -壊れる国、生きる人々』

『アフリカで寝る』『アフリカを食べる』『カラシニコフ』などの著作で知られるもと朝日新聞記者・松本さんの新刊。南ア、ジンバブエ、日本の歌舞伎町!などを取材してまとめたアフリカの現状を描くドキュメント。 松本さんは、ジンバブエや南アらのアフリカ…

井上 信一 『モブツ・セセ・ココ物語 世界を翻弄したアフリカの比類なき独裁者』

外務省・旧日本鉱業に務めた経験のある井上さんによるコンゴ民主共和国(RDC、旧ザイール)の独裁者・モブツの人物評伝。同僚の一部で去年あたりから話題になっている本で、この週末に自分も読了。 モブツが政権を握っていたのは1965~1997年の33年間。 CIA…

パコ・イグナシオ・タイボⅡ ほか 『ゲバラ コンゴ戦記 1965』

あまりにも有名なキューバ革命の英雄、チェ・ゲバラ。彼が死の2年前、たった1年弱アフリカの奥地で戦線に参加していたことをご存知でしょうか。 自分もうっすらと知ってはいたのですが、会社の先輩に最近教えられるまで、彼が滞在したアフリカの奥地がコンゴ…

山田 耕平 『自分に何ができるのか? 答えは現場にあるんだ』

TBS「ブロードキャスター」でも紹介された、業界の有名人・山田耕平氏が、マラウィでの青年海外協力隊時代の経験を、親しみやすい文章でつづった単行本。「ブロードキャスター」の留さんこと福留功男キャスターは、「自分は何をしたいのか分からない、そんな…