Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

石 弘之 『キリマンジャロの雪が消えていく アフリカ環境報告』

 読んだままブログで紹介し切れていない本が100冊近くになってしまいました・・・どうしてもブログを書く時間がなかなか取れないのが悩みです。スピードアップを図るために、試行的に当面の間、①本の概要、②印象に残ったパート、③読後の感想、に絞って書いていきたいと思います。

①本の紹介
 朝日新聞記者として世界の環境問題を報告し続け、退社後は駐ザンビア大使を務めるなどアフリカ問題にも明るい石氏による新刊。アフリカで進む気候変動や人口爆発、都市問題や砂漠化といった様々な環境問題について紹介する。

②印象に残ったパート
 第10章「どうするアフリカの環境」、「現場に届かない援助」のなかで石氏は「政府系援助機関は、予算の消化が最大の使命と考えているとしか思えない」と言い、アフリカの某国大臣やウガンダの大学教授からの「それなら援助をいただかなくても結構・でも困るのはあなたたちでしょう」、「ODAは日本人と日本企業のためのもので、この国に役に立つものは多くない」といったコメントを紹介している。
 また最終節で、今後のアフリカ問題への具体的な対処策として、長期的視点で見た森林・自然環境の回復、地場産業の破壊に手を貸す食糧や繊維製品の無償配布の再考、途上国からの人材流出の抑制、等を挙げている。

③読後の感想
 さまざまな立場でアフリカの環境を長くウォッチしてきた石氏ならではの新刊。アフリカの環境問題を包括的に把握するうえで有効。ただし各論に立ち入るにはページ数が少ないため、深く勉強しようと思えば他の情報ソースに頼らざるを得ない。
 つくづく思うのは、日本人はまだまだアフリカについて勉強不足、ということ。であるからこそ、冷静な視点欠いた感情論や悲観論が相変わらずまかり通る。本書をきっかけに少しでも冷静な眼がアフリカに注がれんことを願う。

                            (2009年9月発行、岩波新書


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