Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

随筆・紀行

角幡 唯介 『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』

探検家の角幡氏が、二度に渡ってツアンポー峡谷に挑んだ記録を描いたノンフィクション。 ツアンポー峡谷は、ツアンポー川がチベット高原を東に流れ、ヒマラヤ山脈の東端で南に旋回する場所に位置する、最大深度6000メートル以上、世界でもっとも険しいといわ…

青山 潤 『アフリカにょろり旅』

東大海洋研究所でウナギの生態を研究する青山氏が、アフリカでラビアータ種の採集を行ったときの様子を描いたエッセイ。 アフリカにウナギを採集しに行く、と言ってしまえばそれまでだが、その実際たるや、凄まじい。世界に冠たる東大のウナギ研究者チーム…

牛山 隆信 『もっと秘境駅へ行こう!』

牛山氏『秘境駅へ行こう!』の続編として、前著で紹介しきれなかった秘境駅を、海に近い駅、渓谷美を楽しめる駅、古い駅舎のある駅など、幾つかのテーマ毎に分けて紹介した文庫。 前著でも、室蘭本線の張碓駅に冬山登山ばりのラッセルをしながら徒歩で到達す…

牛山 隆信 『秘境駅へ行こう!』

秘境駅訪問家の牛山氏が、同氏が運営するウェブサイト「秘境駅へ行こう!」の内容を元に、日本全国の主な秘境駅をコンパクトに紹介した文庫。 それなりの経緯あって駅が設置されたものの、僻地のため利用者が殆どおらず廃墟同然のようになっている駅、そもそ…

田丸 公美子 『シモネッタのドラゴン姥桜』

イタリア語通訳の田丸氏が自身の子育て体験を赤裸々?に綴った体験記。ご子息が放任主義ながら開成→東大→弁護士のエリート街道を驀進されたとのことだが、友人関係・恋愛関係まで恐らくすべて実話の情報がこれでもかというほど暴露されており 苦笑、思わず息…

田丸 公美子 『シモネッタの本能三昧イタリア紀行』

今夏にイタリア旅行を計画していたこともあって、イタリアを70回以上も訪れたという日本屈指のイタリア語通訳・田丸氏のイタリア旅行記を手にとってみた。 まず「シモネッタ」の通り名どおり、イタリア人の恋愛とセックスにまつわるエピソードが満載。1981年…

田中 嘉文 『シニアに優しい旅のコツ 海外旅行の実践講座』

旅行業界で多くのシニア向け旅行をプロデュースしてきた田中氏による、シニア向け旅行のノウハウをまとめた新書。計画時や旅先での動き方の注意点、あると便利な持ち物リストまで、海外旅行初心者にとっては至れり尽くせりな内容。旅行を計画している方にと…

田丸 公美子 『パーネ・アモーレ イタリア語通訳奮闘記』

米原万理氏いわく「押しも押されもせぬ大横綱」、日本最強のイタリア語通訳である田丸氏が、通訳としての波乱万丈の体験を綴ったエッセイ。 米原氏の著作(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/21610045.html )の中で壮絶な下ネタ使いとして登場する田丸氏。…

国連教育科学文化機関 『World Heritage Sites: A Complete Guide to 911 UNESCO World Heritage Sites』

ひょんなことから入手した、ユネスコ発行の世界遺産ガイド。重たい紙質で856ページ、持ち運ぶのは難儀だが、中身はとてもいい。2010年までに登録された911の世界遺産すべてを、それぞれ半ページ~2ページを割いて概説、主なものには写真が付いている。写真を…

米原 万理 『ガセネッタ&シモネッタ』

こちらは、米原氏が通訳としての仕事をされる中で体験したエピソードを中心に綴ったエッセイ。かつて一緒に仕事をさせていただいた露語通訳の方は「米原さんが露語通訳の業界をメジャーにした」と仰っていたが、本書を読んでその正しさを改めて実感した。 通…

高野 秀行 『ワセダ三畳青春記』

前項で紹介した高野氏が学生時代から11年間暮らした早稲田のアパート暮らしを綴ったエッセイ。 と書くとどうってことないように聞こえてしまうが、これが抱腹絶倒のエピソード満載でとても面白い。舞台は家賃1万2千円、三畳一間のアパート「野々村荘」。大学…

高野 秀行 『放っておいても明日は来る 就職しないで生きる9つの方法』

『幻獣ムベンベを追え』等で知られるライター・高野氏が主宰した上智大学の講義「東南アジア文化論」の記録。なのだが、就職に悩む学生向けに「就活本」として今回新しく構成された。東南アジア文化について高野氏の知人がゲストとして講義するのだが、登場…

山形 浩生 『新教養主義宣言』

文筆家・翻訳家の山形氏の処女作で、情報、メディア、経済、文化、さまざまな話題について同氏が書き溜めた論考集。同氏の『訳者解説』がかなり面白かったので、この本も購入。単行本として発売されたのは1999年のことだが、内容は古びるどころか、2010年の…

中村 安希 『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』

①本の紹介 アジア・アフリカでの2年間のバックパッカー体験と道中での思索を綴った中村氏のエッセイ。第7回開高健ノンフィクション賞受賞。 ②印象に残ったパート 旅も終わりに近づいたニジェールで、当初のアフリカ渡航の目的「アフリカに行って貧困と向き合…

山形 浩生 『訳者解説 新教養主義宣言リターンズ』

1.本の紹介 クルーグマンやロンボルグの翻訳で知られる山形氏の訳本に付された「訳者解説」を14冊分集めた本。山形氏の翻訳に対する姿勢や考え方が透けて見える。 2.印象的なパート 冒頭でいきなり山形節が炸裂する。「新聞雑誌で書評と称するものを書い…

三ツ谷 誠 『少年ジャンプ資本主義』

①本の紹介 かつて週間誌売上最多記録(約650万部)を記録したマンガ雑誌・「少年ジャンプ」。その掲載作品を、戦後日本経済の移ろいと重ね合わせて論考する。著者は企業・経済動態コラムニストの三ツ谷氏。 ②印象的なパート 少年ジャンプが創刊以来採用し続…

米原 万里 『不実な美女か 貞淑な醜女か』

あけましておめでとうございます。昨年末はだいぶご無沙汰していましたが、今年は「1日1冊」の目標のもと、もっと頻繁に更新していきたいと思います。 さてこの本。ロシア語通訳・コメンテータ・小説家など多彩な肩書きで知られる米原万里さんのエッセイ。…