廣瀬 陽子 『コーカサス 国際関係の十字路』
コーカサス地域(カスピ海と黒海に挟まれたユーラシア大陸のど真ん中)研究で知られる研究者・廣瀬先生の新刊。一般向けの新書とあって、帯にあるとおり「日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか」、とくに民族紛争、天然資源、対外関係(対米国、対欧州、対ロシア、対イスラム諸国)について、とても分かりやすく書かれた本。
コーカサス地域のゲストも職場で良く会うのですが、彼らと話をするなかで、中央アジアと同様「コーカサス地域って実はあまり良く知らないなあ」と思っている矢先、本屋に平積みされていたので購入。
以下、勉強になったところをぽつぽつ↓
コーカサス地域のゲストも職場で良く会うのですが、彼らと話をするなかで、中央アジアと同様「コーカサス地域って実はあまり良く知らないなあ」と思っている矢先、本屋に平積みされていたので購入。
以下、勉強になったところをぽつぽつ↓
・旧ソ連地域には4つの「未承認国家」と呼ばれる事実上の無法地帯がある。ナゴルノ・カラバフ、アブハジア、南オセチア、沿ドニエストルの各共和国。それぞれロシアの軍事力の庇護を受けるが、複雑なことにロシアはこれらの地域の「国家承認以外の全て」は認めても、「国家承認」だけは認めない方針。
タイトル「国際関係の十字路」にあるとおり、地政学的な重要性から来る諸外国の思惑や、民族・宗教のモザイクのせいで、一筋縄では読み解けない難しい地域・コーカサス。
ただ、そのぶんこの地域に働く力学を読み解けば、一気にそのまま世界情勢の理解につながる、と思います。先月再燃した南オセチア紛争など、この地域のニュースが気になる人はぜひ。
(集英社新書、2008年7月発行)