Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

政策・行政

池上直己、J.C.キャンベル 『日本の医療 統制とバランス感覚』

日米の医療政策の研究者が、日本の医療制度と政策過程を解説した新書。 日本の社会インフラについて勉強している関係で、会社の同僚から薦められて読了。当時の米国で、医療改革の参考として日本の医療制度を紹介するために企画されたプロジェクトの成果との…

根本 祐二 『朽ちるインフラ』

元政策投資銀行・東洋大学教授の根本氏が、日本の老朽化しつつあるインフラの現状と課題、その対策をまとめた本。 ここ最近、老朽化する公共施設やインフラ(道路、橋梁、上下水道等)の問題がマスコミでも指摘されている。中央自動車道の笹子トンネル天井版…

河辺 一郎 『国連と日本』

国連問題と日本外交を研究してきた愛知大学の河辺氏による、主に国連での投票活動実績から、日本の国連外交を批判的に分析した新書。 1994年発行という本書の発行時期を差し引いて捉える必要はあるが、河辺氏によれば、国連における日本の投票活動から見えて…

橋下 徹、堺屋 太一 『体制維新 大阪都』

現大阪市長・日本維新の党代表代行の橋本氏が自身の大阪都構想についてその概要と意義を説明した本。堺屋氏も対談形式で補足を加えている。 日本を数年留守にしていることもあって、正直なところ大阪都構想がどういうものか不勉強だったが、本書を読んですっ…

齊藤 誠 『原発危機の経済学 社会科学者として考えたこと』

マクロ経済学者の齊藤氏が、福島第一原発の事故をきっかけとして、経済学・経営学の視点から原発事業の妥当性を論じた本。 同氏の問題意識は、たとえ新規原発の建設を止めたとしても、既存原発の維持管理、運転終了後の解体、放射性廃棄物の処理・貯蔵などで…

原 英史 『「規制」を変えれば電気も足りる 日本をダメにする役所の「バカなルール」総覧』

2009年7月まで公務員制度改革に事務方として関与した政策コンサルタント・原氏による「規制」についての解説本。少なくともここ数十年、日本における「規制改革」の必要性は謳われ続けてきたが、とかく総論が先行しがちなこの分野について、具体的に各論を見…

前田 充浩 『国益奪還』

研究者の前田氏が、OECD(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/34934144.html )において日本のタイド円借款が全面的に規制されるに至った経緯を詳細に綴り、国際的なレジーム形成における日本のあり方を論じる新書。 同氏が、日本では「特に敗北の場合、その…

天木 直人 『さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない』

元レバノン大使の天木氏が、古巣の外務省と小泉政権を徹底的に告発した本。発行当時に相当話題になっていたのを覚えているが、今になってなぜかパリで手に取る機会があったので読んでみた。 本書は、天木氏がイラク戦争勃発にあたり本省に宛てた、国連決議な…

古賀 茂明 『日本中枢の崩壊』

先月の発売以来ベストセラーになっている、公務員制度改革を推し進めた異色の経産官僚・古賀氏による回想録と提言の書。元財務省の高橋洋一氏(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/10325662.html )、元外務省の佐藤優氏(http://blogs.yahoo.co.jp/s061139/1…

C・N・パーキンソン 『新版 パーキンソンの法則 先進国病の処方箋』

先日職場の先輩が事務仕事に追われている自分を見て「パーキンソンの法則やな」とつぶやいて以来、職場ではやっている「パーキンソンの法則」。一昔前の世代の方にはなじみがある言葉ではないだろうか。本書は、多彩な経歴を持つ政治学者のパーキンソン氏が…

小菅 正夫 ほか 『戦う動物園 旭山動物園と到津の森公園の物語』

先月、うわさの旭山動物園に行ってきました。冬に行くのは初めてだったのですが、オオカミの遠吠えを生まれて初めて聞いたり、散歩するペンギンを間近で見たり、新しい発見や驚きがたくさんありました。雪がしんしんと降るなか、ペンギンやホッキョクグマは…

竹中 平蔵 『闘う経済学 未来をつくる〔公共政策論〕入門』

慶應の竹中教授による「政策と経済学の隙間を埋める」試みとして書かれた本。郵政民営化担当大臣等の公職にあった当時の回顧録としても読める内容。 「経済学の理論・知見をいかに実際の政策に生かすか」、竹中氏が長年突き詰め実践してこられた考えの一端を…

高橋 洋一 『財投改革の経済学』

ロングセラー『さらば財務省!』をはじめ各所で露出著しい元財務官僚・高橋氏による単行本。 財政投融資に関連する一連の改革について経済金融理論からの検証を行った同氏の博士論文がベースになっています。計数やグラフも随所に出てきますが、金融・財政に…

平林 博 『首脳外交力 首相、あなた自身がメッセージです!』

もと駐印大使・駐仏大使の平林氏による新著。タイトルのとおり、首相およびその周辺による「首脳外交力」の重要性がメッセージ。分量の半分以上が、洞爺湖サミット準備をはじめとする首脳外交を外務省幹部の目線で捉えた平林氏の回想録で占められています。 …

ジョエル・J・オロズ 『助成という仕事―社会変革におけるプログラム・オフィサーの役割』

アメリカ・ケロッグ財団のプログラムオフィサーを長く勤めたジョエル・オロズ氏が、助成事業に携わる財団のスタッフ、特にプログラムオフィサーのためのマニュアルとして書き下ろした本。 会社の先輩から借りて読了。 データは古いが、ビルゲイツ財団の資産…

落合 博実 『徴税権力 国税庁の研究』

もと朝日新聞編集委員・落合さんによる国税庁の内実に迫るドキュメント。門外不出のマル秘資料をはじめ、現役時代の豊富な対国税庁の取材経験に基づいて構成されています。 以前からタイトルだけは知っていた本なのですが、最近仕事で国税庁の方々とお付き合…

野田 由美子 編著 『民営化の戦略と手法 PFIからPPPへ』

バンクオブアメリカや旧長銀でプロジェクトファイナンスに関わった後、英国をはじめ世界各国で政府の民営化アドバイザーを務めた実績のあるプライスウォーターハウスクーパースに勤め、2000年に日本事務所で民営化部門を立ち上げた野田さんによる「民営化」…

神野 直彦 『財政学 改訂版』

東京都税制調査会会長も務めた東京大学の財政学者・神野先生による財政学の入門書。 「はじめに」で書かれているように、財政とは社会・経済・政治が有機的に絡み合う「境界線上の領域」。 章立ては以下のとおり。大学の学部生や財政に関わりのある一般社会…

金子 勝、高端 正幸 編著 『地域切り捨て 生きていけない現実』

新自由主義への批判で知られる経済学者・金子先生と高端先生、そして地域の問題を取材し続けてきた気鋭のジャーナリストたちによるルポルタージュ8編。なんとも刺激的なタイトル。 地域格差、所得格差の問題が言われて久しいが、実際に地方の現場で何が起き…

高橋 洋一 『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』

東大で数学を専攻、プリンストン大学で金融政策を学び、財務省理財局では財投(財政投融資)改革に取り組んだ異色の元キャリア官僚、高橋さんの自伝形式のエッセイ。 同氏は竹中慶大教授と親しかったことから、同教授が小泉内閣に入閣した際に経済財政諮問会…

山本 直治 『実は悲惨な公務員』

文部省のキャリア官僚を経て退職、公務員向けの転職支援情報サイトを日本で始めて開設したことで知られる人材紹介コンサルタント・山本さんの新著。おもわずタイトル買い。自分も公務員だし・・ 1.給与・福利厚生 2.天下り問題 3.勤務実態 4.コスト…