ジョエル・J・オロズ 『助成という仕事―社会変革におけるプログラム・オフィサーの役割』
アメリカ・ケロッグ財団のプログラムオフィサーを長く勤めたジョエル・オロズ氏が、助成事業に携わる財団のスタッフ、特にプログラムオフィサーのためのマニュアルとして書き下ろした本。
会社の先輩から借りて読了。
会社の先輩から借りて読了。
データは古いが、ビルゲイツ財団の資産額は2002年時点で240億ドル、年間の助成金額は11億ドル。そのほかにも、アメリカにはフォード財団などの民間財団が年間3兆円以上の巨額資金が、大学や研究機関、芸術団体や多くのNPOの財源となっています。
翻って日本は、最大の民間財団である日本財団の助成金額が年間約300億円。企業系財団の筆頭トヨタ財団は約4億円。
学生時代都内の政策提言NGOで働いていたとき、以下に政府の補助金から独立して政策提言を行うために、独立系の財団から助成を得るか、腐心していたのを思い出します。インターンながら助成金申請書のドラフトを、頭をひねりながら書いていたものでした。
翻って日本は、最大の民間財団である日本財団の助成金額が年間約300億円。企業系財団の筆頭トヨタ財団は約4億円。
学生時代都内の政策提言NGOで働いていたとき、以下に政府の補助金から独立して政策提言を行うために、独立系の財団から助成を得るか、腐心していたのを思い出します。インターンながら助成金申請書のドラフトを、頭をひねりながら書いていたものでした。
この本は、完全に「助成する側」のためのマニュアル本です。
「助成申請をする」側だった学生時代と打って変わって、誤解を恐れずにいえば、今の仕事はどちらかというと「助成をする」側の意識が働く部分が大きいように思います。
その意味で、この本を読んで「おっ」と思わされた点をいくつか↓
「助成申請をする」側だった学生時代と打って変わって、誤解を恐れずにいえば、今の仕事はどちらかというと「助成をする」側の意識が働く部分が大きいように思います。
その意味で、この本を読んで「おっ」と思わされた点をいくつか↓
・助成活動の中心になるプログラムオフィサーにとっての関門は?
⇒1.お世辞を信じない
2.ふいに傲慢になりたくなる誘惑に屈しない
3.シニミズムに屈しない。
4.財団の資金を自分のものと考えてはいけない(社会のもの)
5.すべての申請団体の価値を疑ってはいけない
6.(ただし)すべての申請団体に価値を見出してはいけない
7.楽な解決方法をとらない(忙しさにかまけ、雑・非礼な仕事に陥りがち)
⇒1.お世辞を信じない
2.ふいに傲慢になりたくなる誘惑に屈しない
3.シニミズムに屈しない。
4.財団の資金を自分のものと考えてはいけない(社会のもの)
5.すべての申請団体の価値を疑ってはいけない
6.(ただし)すべての申請団体に価値を見出してはいけない
7.楽な解決方法をとらない(忙しさにかまけ、雑・非礼な仕事に陥りがち)
・プロジェクトマネジメントの落とし穴。対処法は?
⇒1.「決定後の無関心」を避ける
2.(かといって)過度の干渉も望ましくない
3.(問題案件に引きずられず)優良案件にも目を配る
4.(かつ、)平均的な事業を無視してはいけない
⇒1.「決定後の無関心」を避ける
2.(かといって)過度の干渉も望ましくない
3.(問題案件に引きずられず)優良案件にも目を配る
4.(かつ、)平均的な事業を無視してはいけない
・・・今の自分の教訓としても汲み取れる部分が多くあります。
(日本ではまだまだ少ないとは思いますが)財団等で助成事業に携わる方にとっては必携の本といえるでしょう。また社会活動やNPO事業に興味のある方にとっても、アメリカの助成・民間財団の内幕を知ることができるという意味で、有益な本だと思います。
(日本ではまだまだ少ないとは思いますが)財団等で助成事業に携わる方にとっては必携の本といえるでしょう。また社会活動やNPO事業に興味のある方にとっても、アメリカの助成・民間財団の内幕を知ることができるという意味で、有益な本だと思います。
(2005年、明石書店。
原著:Joel J. Orosz "The Insider's Guide to Grantmaking" 2000. Jossey-Bass, Inc., Publishers.)