Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

藤巻 忠俊 『黒子のバスケ』

 『ONE PIECE』の白ひげ戦争編が終わった今、個人的に今「少年ジャンプ」誌上でもっとも面白いマンガ。

 登場人物たちが繰り出す破天荒なプレイの数々は、競技は違えど、同誌で以前連載されていた『テニスの王子様』を彷彿とさせる。気配を消してキラーパスを連発する主人公・黒子。天賦のジャンプ力を持つアメリカ帰りのフォワード・火神。2人のルーキーを擁する誠凛高校の面々の成長が、ストーリーの中心になる。そして、彼らのライバルとなる「キセキの世代」の面々がまた個性的。一度見たプレイを完全にコピーする天才フォワード・黄瀬、自由奔放な最強スコアラー・青峰、コート全てがシュートレンジ!のシューター・緑間。
 主人公・黒子の得意技が、ドリブルでもなくシュートでもなく、パスであることが、このマンガのコンセプトを象徴しているように思う。バスケとは、つくづくチームの競技である。一人がいくらオフェンスに長けていても、二人・三人がかりで来られれば大概は止められる。そこでチームオフェンスが重要になる。直近の試合で黒子の誠凛高校は天才的な個人技を持った青峰に完敗したものの、いつか彼をギャフンといわせる日が来るに違いない。

 試合のテンポがさくさく進むのも良い。『スラムダンク』は1試合に3巻も4巻も費やすのが常だったが、このマンガではどの試合も1~2巻で終わる。藤巻氏が、冒頭から前のめりに、全力で1話1話を描ききっているのが分かる。
 現時点で7巻まで刊行されているが、まだまだ明らかになっていない謎は多い。残り2人の「キセキの世代」(ポイントガードとセンター)はどんなキャラクターなのか、青峰に完敗を喫した黒子と火神が今後どんな新技を編み出すのか、黒子と火神の語られていない過去は何なのか。久しぶりに毎週月曜日の「ジャンプ」発売を楽しみにさせてくれる、期待の新星の登場である。

 (集英社、2010年7月現在7巻まで発行)


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