Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

竹内 一郎 『人は見た目が9割』

 本棚に眠っていたのを何気なく手にとってみた5年前のベストセラー。社会人になって改めて読んでみると、みごとコミュニケーションの本質を突いていることが分かる。

 米マレービアン博士の研究によれば、人が他人から受け取る情報の割合は「顔の表情:55%、声の質(高低)・大きさ・テンポ:38%、話す言葉の内容:7%」だそうである。「あなたの言うことの意味は分かるけど、あなたに言われたくない」という反応をしたくなる人は周りによくいる。「いやいや、見かけで判断してはいかん」と思い直すのだが、これがなかなか難しい。人生経験を重ねるほど、会って5秒や10秒そこらでその人から受け取る情報の価値を判断している自分に気づく。とても怖いことである。竹内氏は「『人を外見で判断しても、基本的には問題ない。ごくまれに、例外があるのみである』といってもよい」とまで言っている。
 さて、そこで一体どうすればよいのか。身だしなみに気をつける、なるべく笑顔でいる、話すときのタイミング・「間」を重視する、・・・できそうなことは色々ある。他者に伝えたいメッセージを持っているときほど、発する言葉以外の部分に注意を払うことが重要になる。普段その辺りにあまり気を使わなくても良い「力の強い」ポジションに居れば居るほど、知らない間に負っているダメージは大きい。

 「人は見た目が9割」の他にも、数々の名言あり:「一般に男より女のほうが、勘が鋭いと言われている。・・・それは長い間に本では、女性の社会的立場が低かったからだと、私は考えている。・・・社会的に立場の弱い女性は、相手が同思っているかが大事なのである。」「言葉の呪縛から解き放たれて、もっと総合的にコミュニケーションを考えてみてもいいのではないか、とも思うのである。」

新潮新書、2005年)


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