川村 雄介 監修・著 『アジア証券市場と日本』
日本証券経済研究所が主催した「アジア資本市場研究会」メンバーによる、第1クルー(2005~2007)の研究成果をまとめた本。東アジア・東南アジア・インドの証券市場の概観(発行・流通規模、市場プレイヤー、監督機関、現状と課題Etc.)を大まかにつかむうえでは役に立つと思います。
章立ては以下のとおり。第2~4章は各国証券市場の概観について国ごとに述べられています。
第1章 アジア証券市場の新潮流
第2章 東アジアの証券市場
第3章 東南アジアの証券市場
第4章 インドの証券市場
第5章 日本経済とアジア
第2章 東アジアの証券市場
第3章 東南アジアの証券市場
第4章 インドの証券市場
第5章 日本経済とアジア
個人的に参考になったのは第1章。各国証券市場を理解するうえでのポイントやアジア金融危機後の教訓について簡単にまとめられているほか、債券市場と株式市場の域内共同市場化に向けた制度改革の展望が述べられています。
・債券市場と証券市場、共同市場化が進みやすいのはどちら?
⇒債券市場。アジア金融危機の教訓を踏まえて、現地通貨建て債券の発行・域内流通を促すABMIやABFといった制度整備もすすんでいる。いっぽう株式市場は、①そもそも個別性の強い商品であり、②機関投資家の既に投資対象国の仲介業者に直接発注するなどの対応をしており、Etc. により必ずしも切迫したニーズがない。
⇒債券市場。アジア金融危機の教訓を踏まえて、現地通貨建て債券の発行・域内流通を促すABMIやABFといった制度整備もすすんでいる。いっぽう株式市場は、①そもそも個別性の強い商品であり、②機関投資家の既に投資対象国の仲介業者に直接発注するなどの対応をしており、Etc. により必ずしも切迫したニーズがない。
・アジア経済・証券市場を見通すうえで留意すべき点は?
⇒①アジア圏の急激な成長の7割程度は中国とインドの寄与によるもの、②加えてASEAN主要国・韓国も5%程度の堅調な成長を続けている、③「雁行的発展形態」から「らせん型産業発展形態」への移行、④ASEANの域内格差(先発国と後発国)は依然として大きい。
⇒①アジア圏の急激な成長の7割程度は中国とインドの寄与によるもの、②加えてASEAN主要国・韓国も5%程度の堅調な成長を続けている、③「雁行的発展形態」から「らせん型産業発展形態」への移行、④ASEANの域内格差(先発国と後発国)は依然として大きい。
(金融財政事情研究会 2007年10月発行)