Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

竹中 平蔵 『竹中式マトリクス勉強法』

 いわずと知れた元大臣の慶応大教授・竹中氏による「勉強法」についての本。改めて氏の経歴を見ると、一橋⇒日本開銀⇒大蔵省⇒阪大⇒ハーバード⇒慶応⇒大臣⇒参院議員⇒慶応、と、やはりかなり「珍しいキャリア」を積まれていることが分かります。過去の自身の経済や英語Etc.についての勉強の経験が等身大の目線で描かれており、同氏が決して天才の部類ではなく、その都度その都度地道に「勉強」を積み重ねてきた方だということが分かり好感が持てます。

 タイトルにもなっている「マトリクス」は、「あなたは何を勉強したいのか」を明らかにするための同氏なりのメソッド。巷にあふれる自己啓発本Etc.、同様の内容を難しい解説を付して説く本もありますが、とてもシンプルで分かりやすい&使える思考法だと思います。

 <20代の竹中氏> 
                           天井がある勉強      天井がない勉強
人生を戦うための武器としての勉強     【記憶勉強】簿記3級 【仕事勉強】英会話+1日3枚原稿
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強 【趣味勉強】特になし 【人生勉強】マンドリン・ギター・「アリス」

<現在(50代)の竹中氏>
                           天井がある勉強      天井がない勉強
人生を戦うための武器としての勉強   【記憶勉強】中国語検定 【仕事勉強】「行動経済学」で日本政治考える
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強 【趣味勉強】江戸歴史検定【人生勉強】いつか自分で小説を書く

<今の自分で言うとどうなるか?> 
                           天井がある勉強      天井がない勉強
人生を戦うための武器としての勉強   【記憶勉強】仏語通訳資格【仕事勉強】アフリカ研究・国際/開発経済学
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強 【趣味勉強】読書ブログ1日1本【人生勉強】バスケ・ドラム・料理・農業・山


 そのほか、印象に残った点を幾つか↓

・「D:人生勉強」の世界を極められるのは、不断の努力を続けられる人。野球で言えばイチローや松井。

アメリカ人は、自分の休みを取るために仕事の生産性を高める工夫は欠かさない。「残業するほど暇じゃない」。日本の低い労働生産性はこうしたカルチャーの違いにも起因しているのかもしれない。ときには宴会をうまく抜け出すことも重要。

・本当に重要な情報、第一次情報はやはり人が握っている。現地、現場を直接訪れることが重要。E.g.ベトナム郵便局員の家でのホームステイ、各国の住宅展示場の見学。

ポール・クルーグマン「庭師と植物学者は違う」。経済も同様。学者が政策批判だけをするのは見当違いで、「対案を出す」ことが議論の掟。

・経済予測に絶対的な正解はない。「連立方程式が綱引きをし、その強弱のバランスによって答えが変わってくる」。たとえば、内需向上⇒円への影響(輸出関連株価への影響)も2パターン考えられる。(1.内需拡大原油・原材料輸入増⇒経常収支悪化⇒海外への円流出⇒円安。2.内需拡大⇒景気上昇⇒資金調達需要増⇒金利上昇⇒円需要増⇒円高

・結局のところ、勉強ができる人とは、「自分をモチベートする力」「自分で自分をほめる力」を持っている人!

                                 (幻冬舎、2008年10月発行)


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