Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

2010-01-01から1年間の記事一覧

藤巻 忠俊 『黒子のバスケ』

『ONE PIECE』の白ひげ戦争編が終わった今、個人的に今「少年ジャンプ」誌上でもっとも面白いマンガ。 登場人物たちが繰り出す破天荒なプレイの数々は、競技は違えど、同誌で以前連載されていた『テニスの王子様』を彷彿とさせる。気配を消してキラーパスを…

真山 仁 『ハゲタカ』

1990年代末の日本を舞台に、外資系投資ファンド社長の鷲津が、バブル崩壊以後の苦境にあえぐ金融機関・地方企業を相手に企業買収・再生を仕掛けていく経済小説。『ベイジン』が面白かったので、真山氏の代表作といえる本作を出張先に持っていって、帰りの機…

杉山 茂樹 『4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』

日本中が熱狂した、サッカーW杯南ア大会日本代表の挑戦が終わった。パラグアイ戦の結果には色々と思うところあれど、国外のW杯で初めてベスト16・PK戦にまでもつれ込むという輝かしい実績を作った選手達をまずは讃えたい。 今大会の日本代表は、大会直前に戦…

横石 知二 『そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生』

先日、「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町の「棚田オーナー制度」を利用して田植えに出かけた。そのとき同町のホテルの売店で購入したのがこの本。「葉っぱビジネス」の仕掛け人として知られる横石氏の自伝である。 横石氏は1979年に同町農協の営農指導…

池田 千恵 『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』

これも本屋のビジネス本コーナーでぱっと目に入った本。やっぱり本のタイトル・装丁は大事 笑。 「早起きが大事」と言っている本は数あれど、「4時に起きるべし」とまで言っている本はなかなかない。確かに、その時間に起きられれば、出社までたっぷり自分の…

和田 裕美 『人づき合いのレッスン 自分と相手を受け入れる方法』

本屋のビジネス書コーナー、いつもさーっとタイトルを目通ししただけで通り過ぎてしまうのだが、なぜかこの本はぱっと目に入った。グリーン基調のほんわかした装丁もさることながら、そのとき自分がまさに「人付き合い」で悩んでいたからだと思う 笑。 この…

立花 隆、佐藤 優 『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』

昨年の「文藝春秋」誌上で、立花氏と佐藤氏が互いに「必読の教養書」100冊を披露し合うという企画があった。本のリストもさることながら、対談内容がとても面白く、雑誌にしては珍しくボーダーラインを引きながら読んだのを覚えている。その企画が本になった…

佐藤 優 『外務省ハレンチ物語』

新入職員を省内で手にかける首席事務官や公費を使って家事補助員を囲う公使など、外務省職員の呆れる生態を暴露した一応「フィクション」。帯のキャッチコピーも「個人名除いてほぼ実話」。読んでみると、登場するキャリア外交官の呆れる性癖には思わず失笑…

イシメール・ベア 『A long way gone: Memoirs of a boy soldier』

先日仕事でシエラレオネを訪れた。内戦終結から8年、人々の眼はどことなく憂いを帯びているように見えるものの、首都フリータウンは活気に満ちており、各省庁やドナーの政策にも復興国ならではの勢いが見て取れた。豊かな自然や鉱物資源に恵まれ、今後の急速…

根本 橘夫 『人と接するのがつらい 人間関係の自我心理学』

人間好不調の波はあるもので、自分も「人と接するのがつらい」ときがたまにある。昨年そんな時期に書店で見かけて手にとったのがこの本。なぜ人と接するのがつらいのか、人と楽に接するためにはどうすれば良いのか、心理学の知見とカウンセラーとしての経験…

真山 仁 『ベイジン』

日本の原発プラントメーカーから派遣された主人公・田嶋が、中国大連市の世界最大級原発建設の技術顧問として派遣され、同国共産党の権力闘争や技術力の制約と戦いながら運転開始を目指すエンタテイメント・フィクション。 党中央規律検査委員会から原発運転…

ほし よりこ 『きょうの猫村さん』

職場の同僚の間でブームになっている『きょうの猫村さん』。読んでみると止まらない! 村田家政婦派遣所に登録されている家政婦の「猫村ねこ」は、なぜか猫。緊張すると裏庭のダンボールで爪を研いだり、派遣先のトイレで用を足した後に思わず足で砂をかける…

和田 純夫 『一般教養としての物理学入門』

こないだNewton誌の量子論特集を読んでいて、ふと「そもそも物理学の全体像を知らないなあ」と思って手に取ったのがこの本。和田氏が東大教養学部の文科系学生向けに行っている講義に基づくものだけあって、ニュートン力学から相対性理論、場の量子論まで、…

東野 圭吾 『白夜行』

飛行機に乗り込む前の成田空港の売店でふと眼にした分厚い文庫。昨年末に読んだ『容疑者Xの献身』で思わず「やられた!」と思わされた東野氏の作品ではないか。しかも以前、綾瀬はるかが主演していたドラマ(最終回の最後10分だけ見た)の原作本ではないか…

山口 彊 『ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆』

先月飛行機のなかで「Economist」誌を読んでいたら、まるまる1ページ使って山口氏の訃報が報じられていた。日本人のobituaryが載ることは珍しいので「誰だろう」と読み始め、眼が釘付けになった。現代の日本人の中で「二重被爆者」という言葉をご存知の方は…

武田 鉄矢、小山 ゆう 『お~い!竜馬』

世は坂本竜馬ブームである。今クールの大河ドラマ『龍馬伝』も好評を博しているようだ。薩長連合、大政奉還に海援隊。龍馬の残した功績は日本史上に燦然として輝き、司馬遼太郎をして「維新史上の奇跡」と言わしめた。閉塞感を感じるこの時代、多くの日本人…

大泉 啓一郎 『老いてゆくアジア 繁栄の構図が変わるとき』

初めて「アジアの高齢化」という問題に気づいたのは、つい2年前、職場の同僚がとある国連のレポートを紹介してくれたときだった。考えてみれば当たり前のことで、経済成長期に裾野の広いピラミッド型の人口構造を有した国ほど、後の世代が負担しなければなら…

マビヌオリ・K・イドウ 『フェラ・クティ 戦うアフロ・ビートの伝説』

フェラ・クティをご存知の方は日本にどれだけいるだろうか。1970、80年代にジャズやアフリカンミュージックに傾倒した方ならご存知かもしれない。今でも彼の音楽を収めたCDはネットショップやちょっと大きめのレコードショップで手に入れることができる。た…

猪木 武徳 『戦後世界経済史-自由と平等の視点から』

ヨーロッパ行きの飛行機の機内というのは読書をする環境にはもってこいである。何しろパリまで12時間。昼間に搭乗しようものなら、流行の映画を見て、酒を飲んで、機内食を食べて、PCのバッテリーが切れるまで仕事をして、まだ時間が有り余る。というわけで…

塩田 潮 『新版 民主党の研究』

これまで①本の紹介、②印象に残ったパート、③読後の感想、という3パート方式でこのブログを書いてきたものの、思ったようには筆致がはかどらなかったため 苦笑、当面の間もとの雑文形式に戻してみたいと思います。逆に読みづらくなってもしれませんが、しばし…

池上 彰 『わかりやすく<伝える>技術』

①本の紹介 「NHKこどもニュース」のキャスターで知られた池上氏によるプレゼン技術向上のためのノウハウ本。 ②印象に残ったパート 聞き手に「地図」を与えることがもっとも重要、と池上氏。新聞やTVニュースでいうところの「リード」。「こういうことがあ…

立花 隆 『ぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎論』

①本の紹介 旺盛な執筆活動で知られる立花隆氏が、実践的読書のためのアドバイス、自らの書斎をめぐる話題、1992-95にかけての「週刊文春」誌上での書評、を1冊にまとめた。 ②印象に残ったパート 立花氏は、「古典よりも最新レポートの中に拡大集積する知の…

山崎 豊子 『不毛地帯』

①本の紹介 『白い巨塔』や『沈まぬ太陽』などで知られる山崎氏の長編小説。シベリア抑留地や戦後の総合商社を舞台に、旧日本陸軍作戦参謀・壱岐の苛烈な生き様を描く。 ②印象に残ったパート 終戦直後、関東軍に停戦を伝える大本営命令を帯びて壱岐は満州に飛…

羽海野 チカ 『3月のライオン』

①本の紹介 『ハチミツとクローバー』の作者が、孤独を抱えた17歳のプロ棋士・桐山零の日常と、近所の川本家三姉妹ら周りの人々との交流を描く。 ②印象に残ったパート 第2巻、不器用な零の生き方が、後輩の野球少年・タカハシ君に共感を得る:「ピンチのとき…

堤 清二、三浦 展 『無印ニッポン 20世紀消費社会の終焉』

①本の紹介 セゾングループの経営で知られる実業家・堤清二氏とマーケティングアナリストの三浦氏(かつてセゾングループに所属)による、消費の未来や日本の将来についての対談集。 ②印象的に残ったパート 三浦氏は「堤清二最大の功績である『無印良品』のコ…

中村 安希 『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』

①本の紹介 アジア・アフリカでの2年間のバックパッカー体験と道中での思索を綴った中村氏のエッセイ。第7回開高健ノンフィクション賞受賞。 ②印象に残ったパート 旅も終わりに近づいたニジェールで、当初のアフリカ渡航の目的「アフリカに行って貧困と向き合…