Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

竹内 一正 『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』

 アップル社の創業者にして現CEO・スティーブ・ジョブズ氏についての人物評伝。著者の竹内氏は、アップル社に在籍していた現役の経営コンサルタント
 会社の先輩がたまたま持っていた本を借りて、帰りのバスのなかでさくっと読了。
 
 ジョブズ氏の名前は、今をときめくアップル社のCEO、ということくらいしか知らなかったのですが、その先輩の話を聞いて、この本を読んで、かなり興味を持ちました。
 とにかく破天荒で、荒々しい。部下に徹底して忠誠を誓い「YesかQuit(やめる)か」。共同創業者も平気で裏切り、切り捨てる。いったん結んだ契約書は反故にする。

 ジョブズ氏にとって大切なのは、竹内氏の言葉を借りれば、「必ずしもお金や名誉ではない。才能のある人たちを集め、ときに怒らせ、ときに士気を鼓舞しながら、世界をあっと言わせるようなものを作り出すことだ。」その意思のもとでは、彼の前に立ちふさがるものは全て取り除くべき障害でしかない。
 2005年スタンフォード大での講演で、彼は学生達の前で「Stay Hungry, stay foolish」(貪欲であれ、愚かであれ)」と締めくくりました。
 このような人ばかりだと社会はきっと大混乱だと思いますが・・・コンピュータ業界も、映画業界も、音楽業界も、彼のブレイクスルーがなければ、今は違う世界になっていたでしょう。

 どんな人物なのか自分のなかで判断するにはまだ情報をもっていませんが、興味をもたせてくれるには十分に足る一冊でした。
 ちなみにジョブズ氏が2001年に初めてiPodを発表したときのプレゼンスピーチを、You Yubeで見てみました。絶妙な間の使い方とイントネーション、製品を知り尽くしたうえでの話しぶり。まさに稀代の経営者、の様子でした。

                           (経済界、2008年5月発行)

 
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