松井 秀喜 『不動心』
現代日本最高の長打者・松井秀喜、初の自著エッセイ。まとまった目次があるわけではありませんが、星陵高校での5打席連続敬遠時代から松井を見続けてきた自分にとっては興味深いポイントが多々。以下抜粋。
・自分の会社や仕事に誇りを持っている人のほうが、そうでない人よりも素晴らしい仕事をするような気がする。会社に依存するということではなく、それを守るために必死に戦える。それが誇り。
・長嶋さんはいつも未来の話をする (←思わず笑ってしまう)
・絶対にコントロール不可能なもの。それは人の心。でもコントロールはできずとも、動かすことはできる。
・「努力できることが才能」
・悔しさは過去でなく未来へぶつける。僕にとってはそれが「素振り」。
・重要なのは、自分は不器用で野球の素質がないのだと認識すること、つまり己を知り、力の足りない自分自身を受け入れること。
・自分なりの準備をして打席に入ったけれど、投手に自分の思考を上回る攻め方をされたら、これはもう仕方がない。・・・潔いというのではなく、ベストを尽くした結果なのだから仕方がない。そう思えるほど、打席に入るまでの準備をしっかりしていきたいと常に思っています。
21世紀に入り日本人で唯一の年間50本塁打を達成し、故障をかかえながら今季またヤンキースの5番として着実に打点を上げている松井だからこそ、説得力をもって響いてくる言葉。
野球の実績だけでなく人間性も素晴らしい(といわれる)松井秀喜、その一端を垣間見ました。野球の世界のみならず、ビジネスや社会人のスキル論としてもじゅうぶん敷衍できる内容です。
(2007年発行、新潮選書)