Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

加藤 洋輝・桜井 駿 『決定版 FinTech 金融革命の全貌』

 NTTデータ研究所の加藤氏・桜井氏が、IT技術を駆使した新たな金融サービス(フィンテック)を概説した本。

 フィンテックの入門書はこの本以外にもたくさん出ているが、構成が分かりやすそうなだったので手にとってみた。読んだのは少し前だが、備忘録として書き込んでおく。

 本書の分類によれば、フィンテックの代表的なサービスは、①融資、②決済、③送金、④投資、⑤情報管理、⑥業務支援、⑦仮想通貨(ビットコイン)。それぞれ代表的なビジネスモデルや提供企業が挙げられている。
 ①融資は、Lending Club という米国のサービスが存在感を増している。クラウドファンディングの類型「寄付型」「購入型」「投資型」のうち「投資型」に該当。最後に該当するもの。消費者信用スコア以外の、SNSやPFM、EC購買歴などをビッグデータ解析、それをもとに与信ランクを判断するという。比較的信用が高い個人を対象とすることで貸倒れリスクを抑えつつ、投資家にとっては銀行預金や国債よりも魅力的な商品になっており、与信総額はいまや1兆円を超えているという。本書の巻末でも示唆されるように、金融は、仲介者たる金融機関を飛ばして、一対一の取引という原初の姿に戻り始めているのかもしれない。
 著者が「突然変異で生まれた飛び地」と位置付けるのが⑦仮想通貨のビットコイン。為替、送金、決済の機能を併せ持つ。ブロックチェーンP2Pネットワーク、プルーフオブワークという3つの技術・アイデアを組み合わせることで、革新的なアイデアを現実の世に送り出した。
 
 また、フィンテックを支えるのは、5つの要素技術だという:①モバイル端末、②ビッグデータ、③人工知能、④API(複数のプログラムの機能やデータを外部と接続する際の規格・規約)、⑤デザイン。

 (2016年、東洋経済新報社)

https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-db-4e/s061139/folder/473545/38/41440838/img_0_m?1530368947