栗田 匡相 ほか 編著 『日本の国際開発援助事業』
1.理論・背景(全体、アジア、アフリカ)、2.ハード・インフラ(エネルギー、水道、道路等)、3.ソフト・インフラ(教育、保険医療等)の3部構成になっている。PPPによるインフラ整備、NGOとの連携、援助協調、インフラ輸出等々、ODAを語る上で欠かせない近年のトレンドをコンパクトに抑えている。ODAについて概観したい学生や一般の方々におすすめ。
個人的に印象に残ったのは、以下の2論考。いずれも総論としては賛同。より具体的な提言に至るには、研究者と実務者の双方が、更に議論を深めていく必要がある。
●アフリカ向けODAの展開(遠藤衛・高橋基樹)
・財政支援が時流となる中、日本は、米国のミレニアム・チャレンジ・アカウントのように独自の財政支援スキームを作ることもなく、従来通りプロジェクト中心の無償資金協力を展開してきた。
・借款を中心とした日本のODAは、アジアの工業化を背景とした経済インフラ整備、産業人材育成のニーズに対応してきた。
・しかし、1970年代までに一定の輸入代替工業化を成功させていたアジアの国々と、そうでないアフリカの国々では、「援助のニーズや受入方に大きな違い」があり、この点を踏まえて「新しい援助のあり方を模索する勇気」が必要。
・財政支援が時流となる中、日本は、米国のミレニアム・チャレンジ・アカウントのように独自の財政支援スキームを作ることもなく、従来通りプロジェクト中心の無償資金協力を展開してきた。
・借款を中心とした日本のODAは、アジアの工業化を背景とした経済インフラ整備、産業人材育成のニーズに対応してきた。
・しかし、1970年代までに一定の輸入代替工業化を成功させていたアジアの国々と、そうでないアフリカの国々では、「援助のニーズや受入方に大きな違い」があり、この点を踏まえて「新しい援助のあり方を模索する勇気」が必要。
●教育分野のODA(關谷武司・芦田明美)
・JICAの技術協力について、プロジェクト期間の短縮や評価の厳格化に伴い、じっくり腰を下ろして「人づくり」するよりも、あたかも「箱物型プロジェクトのように型にはまったシステマティックな人材育成」にならざるを得なくなっている。
・他ドナーには見られない日本の技術協力の特長は、「きめ細やかさ、口先だけではない本当のオーナーシップやパートナシップ尊重」であり、効率化の努力はしつつも、こうした良さを忘れないことが重要。
・JICAの技術協力について、プロジェクト期間の短縮や評価の厳格化に伴い、じっくり腰を下ろして「人づくり」するよりも、あたかも「箱物型プロジェクトのように型にはまったシステマティックな人材育成」にならざるを得なくなっている。
・他ドナーには見られない日本の技術協力の特長は、「きめ細やかさ、口先だけではない本当のオーナーシップやパートナシップ尊重」であり、効率化の努力はしつつも、こうした良さを忘れないことが重要。
(日本評論社、2014年)