Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

あだち 充 『タッチ』

 いわずと知れた1980年代ののベストセラー・コミック。これまでちゃんと読んだことがなかったので、このゴールデンウィークの間に改めて全巻読破。上杉達也・和也兄弟の甲子園への挑戦を、幼なじみの浅倉南をめぐる恋愛模様とともに描きます。

 スポーツの才能に恵まれていながら何事にも飽きっぽい性格が災いする達也と、野球部でエースを務める文武両道のスポーツマン・和也。(おそらく読者の大半が予想していなかったであろう)和也の事故死の後、和也と並ぶ才能を見出されて野球部に入部した達也は、短いキャリアにもかかわらず、チームを甲子園に導いていく。地区大会の決勝戦、全国屈指のスラッガー・新田を迎えた延長10回のマウンドで、達也はその後ろに和也の姿を感じる。

 マンガというメディアが世に生まれて50年以上が経ち、今後数十年にわたって「名作」と呼ばれる作品が多く世に送り出されましたが、このマンガも間違いなくそのひとつ。淡々な展開が多少気になる部分もありますが、全編を貫くモチーフや読者へのメッセージは明確。未読の方は、老若男女問わず、ぜひ。

(1986年完結。小学館。単行本・ワイド版・文庫版・完全版)

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