Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

綱本 将也、ツジトモ 『GIANT KILLING』

 「サッカー監督マンガ」という新しいジャンルを開拓したに違いない、凄いマンガが出てきました。週末にマンガ喫茶であっという間に全巻読破。

 イングランドFAカップで伝説を作ったJリーグ最年少監督・達海猛が、弱小クラブ「ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)」を率いて強豪クラブをなぎ倒していく。彼のモットーは「番狂わせの大物喰い=GIANT KILLING」。
 達海の背番号「7」を引き継ぐ20歳のファンタジスタ・椿をはじめとするETUイレブン、クラブのサポーターやスタッフ、サッカー記者や相手クラブのイレブンにいたるまで、多種多様な登場人物の人間ドラマが展開されていきます。そして何といっても、ETUイレブンのハートを動かし強豪を打ち倒していく達海猛の痛快な試合戦術と人心掌握術?が最大の見どころ。
 
 「伸び方ってのは人それぞれあるもんだ。でもチームってもんはひとつしかねえ。勝ちたがってるなら、その思いをケンカしてでもすり合わせりゃいい。そうすれば相手の考えがわかる。それが次々広がって、チームっていうひとつの生き物になる。そうやってね、強いチームってのはできるんだぜ。」

 今月発売の9巻では、リーグ最強・FW4枚の超攻撃クラブ・大阪ガンナーズガンバ大阪?)との試合がクライマックス。0-2のビハインドから、果たして大逆転劇を収めることができるのか。

                           (講談社、2009年1月現在9巻まで発売中)

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【原作者と作画者】
 「漫画も、日々進歩している」。大げさかもしれませんが、『GIANT KILLING』を読んで、思わずそんなことを考えてしまいました。
 数十年以上の歴史を経てたくさんの作品が世に送り出されてきた漫画というメディアにおいて、ストーリー・画力とも他の漫画に抜きん出るような作品を世に送り出すためには、もはや一人の漫画家がストーリーも作画も手がけようとすることは、賢明な選択とはいえないのかもしれません。たくさんの登場人物の描写を書き分け、読者の琴線に触れるエピソードを随所に盛りこむ。それでいて作品全体を貫くモチーフは一貫させる。とくに現実世界の特殊職業(医療や法曹)やスポーツの世界について描かれた漫画について、原作者と作画者が役割分担してひとつの作品を描くことが多くなってきているように思います。
 最近でいうと、『DEATH NOTE』の大場つぐみ・小畑 健、『アイシールド21』の稲垣理一郎村田雄介、『医龍』の乃木坂太郎・永井明、『クロサギ』の黒丸・夏原武、などなど・・・。