文藝春秋 編 『東大教師が新入生にすすめる本』

　本屋でパラ読みしている間につい手元に置きたくなって購入。東大で新入生のためのブックガイドとして1988年から雑誌『UP』に掲載されたアンケート結果を編集したもので、東大の教官から新入生に対してのアツいメッセージを随所に垣間見ることができます。

１．この本に載っていて、読んでみたいと思った本

アルバーツ他『細胞の分子生物学』
立花隆他『マザーネイチャーズ・トーク』
ドーキンス『利己的な遺伝子』
デカルト『方法序説』
中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』
斎藤正彦『線形代数入門』
サイード『オリエンタリズム』
ハイデガー『存在と時間』
ブロッカー『なぜ地球は人が住める星になったか？』
ウォルフレン『日本／権力構造の謎』
スキナー『マキアヴェッリ　自由の哲学者』
長尾龍一『リヴァイアサン　近代国家の思想と歴史』
クーン『科学革命の構造』
シュレーディンガー『生命とは何か』
ヒックス『価値と資本』
マルキール『ウォール街のランダム・ウォーク』
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
『旧約聖書』
ハッキング『表現と介入』
リースマン『孤独な群衆』
レヴィ・ストロース『はるかなる視線』
アーレント『人間の条件』
宇沢弘文『ケインズ「一般理論」を読む』
間宮陽介『ケインズとハイエク』
三和良一『概説日本経済史』
橋本寿朗『戦後の日本経済』
大瀧雅之『景気循環の理論』
フランクル『夜と霧』
浜田宏一『国際金融の政治経済学』
伊藤隆敏『消費者重視の経済学』
斎藤真『アメリカとは何か』
岸康彦『食と農の戦後史』
コルボーン『奪われし未来』
カーター他『土と文明』
村上陽一郎『科学者とは何か』
ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
妹尾河童『少年Ｈ』
朝永振一郎『物理学とは何だろうか』
ホーキング『ホーキング、宇宙を語る』
丸山真男『日本の思想』
カー『歴史とは何か』
ソーン『太平洋戦争とは何だったのか』
『新約聖書』
ベック『仏教』
バーンスタイン『リスク　神々への反逆』
トルストイ『アンナ・カレーニナ』
ジュルダン『ヨーロッパと海』
カー『危機の２０年』
梶井基次郎『檸檬』
ニーチェ『ツァラトゥストラはかく語りき』
エリクソン『ガンディーの真理』
石田保昭『インドで暮らす』
長崎暢子『ガンディー　反近代の実験』
白土三平『カムイ伝』
佐藤郁哉『フィールドワーク』
カプシチンスキー『皇帝ハイレ・セラシエ』
カプシチンスキー『サッカー戦争』
栗本英世『民族紛争を生きる人びと』
高橋団吉『新幹線をつくった男　島秀雄物語』
内田義彦『社会認識の歩み』
渡部忠世編『稲のアジア史』
リップマン『世論』
筒井康隆『アフリカの爆弾』

・・・既に買って読んでないものも含まれていますが、一時間くらいでこの新書をめくっていて目に入ってきた本をそのままリストアップしただけでこの数。世界は広い。人間って深い。１年後に少なくともこのうち幾つかは消化できていますように。

２．この本に乗っていて、既に読んだことのある本

和辻哲郎『風土』
中勘助『銀の匙』
村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
吉村昭『高熱随道』
司馬遼太郎『竜馬がゆく』
ユン・チアン『ワイルド・スワン』
サン・テグジュペリ『星の王子さま』
三島由紀夫『豊饒の海』
ポンティング『緑の世界史』
シェパード『サンゴ礁の自然誌』
ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
カーソン『沈黙の春』
カーソン『センス・オブ・ワンダー』
城山三郎『官僚たちの夏』
ウェーバー『職業としての政治』
立花隆『２１世紀　知の挑戦』
石弘之編『環境学の技法』
ダワー『敗北を抱きしめて』

・・・なんともいえない偏りがあります　笑。やっぱり自然科学系の本が少ない。文系だったから当たり前か。

３．本の中で印象に残ったメッセージ

「文学作品を読むことは、多くの人の一生を追体験することだ。多種多様な人間を描き分けた天才作家の作品を通読することは、読む人の人生をそれだけ豊かにしてくれる・・・」

（『カラマーゾフの兄弟』について）「あるいは、読まないほうがいいのかもしれない。一度読んだら最後、宙吊り状態におかれかねない。たいへんな問題にいくつも出くわしてしまったらしいことはわかるのだが、決定的な答えはあたえられていない・・・」

「これからの人は、論理的で反省的な思考をしっかり身につけるとともに、アジア諸地域の思想や感性を知ることも必須と思う。この後者について『仏教』をはじめとするインド思想・仏典・・・・」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2004年、文春新書）