Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

黒田 勝弘 『”日本離れ”できない韓国』

 産経新聞ソウル支局長兼論説委員の黒田さんの著書。黒田さん曰く「韓国の中の日本」を探ることが本書の趣旨。
 個人的にはすごく興味ありつつも「近いしいつでも行けるだろう」と思ってまだ行っていない国・韓国。そういえば「朝鮮半島のことをあまりよく知らないなあ」と思い、手にとってみました。

 産経新聞の論調の是非についてはさておき、のべ20年以上ソウルに駐在している黒田さんだけあって、韓国の人々が日本をどう思っているのか、韓国の政治・社会・経済のさまざまな側面に切り込みながら、読みやすい筆致でさまざまなトピックに触れています。主だったものは以下のとおり。
 
 独島問題、
 歴史教科書問題、
 従軍慰安婦問題、
 韓日=独仏論、
 朝鮮半島の南北格差、
 金大中拉致事件
 北朝鮮による日本人拉致事件
 戦後日本による経済協力と戦後補償

 タイトルどおり、韓国のなかの日本を探ることで見えてくる韓国は、「日本離れ」できない国。
 黒田さんによれば、その歴史ゆえに「日本に対して国境意識の弱い」国・韓国は、領土問題や歴史教科書問題にいたるまで、さまざまな問題について頻繁に日本に口出しをするし、韓国政府はそれを国民の「恨」(ハン)を晴らすための手段にしている、というのが趣旨です。ここでの「恨」は、韓国の人々の「自ら果たせなかった望みや夢の挫折に対するやるせない心情」。太平洋戦争後に自力で独立できず、南北統一も果たせていないという歴史に主に起因している、とのこと。
  
 とりあえず「韓国からみた日本」について知るうえでは、手っ取り早く材料を得られる本だと思います。個々人が「韓国論」を練り上げるうえでは、他のさまざまな出所の情報にも併せて触れる必要があるとは思いますが。
                                       (2006年、文春新書)


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