Foomin Paradise (読書ブログ)

経済や歴史、フィクションを中心に読んでいます。500冊までもう少し。

和氣 邦夫 『ユニセフではたらこう』

 ユニセフに長年勤めた国際公務員・和氣氏の回顧録。世界の現状やユニセフのオペレーションについてのテクニカルな事項は少なく、同氏の日常業務や海外での家族同伴生活の気苦労などについて、平易な言葉で描かれています。それはそのまま、「次世代の日本人国連職員やその卵である若い人たち」に向けたメッセージ集にもなっています。

 いつものようなエッセイ形式ではなく、今回は印象に残ったフレーズを羅列してみます↓

「私が国連で痛切に感じたこと。それは若いうちにもっと勉強しておけばよかった、という一点に尽きるだろう」

「実際にユニセフに入って仕事をはじめ各国からきている同僚の仕事ぶりをみていると、学歴よりも重要な資質が色々あることがわかった。チームワークが取れるか、指導力があるか、実務的センスがあって結果を出せるか、人望があって信頼されるか、コミュニケーション能力があるか、戦略的に考えることができるか、・・・・」

ユニセフでは若いスタッフにはまず、援助プログラムの進捗状況をモニターする仕事を与え、田舎回りをさせた。・・・ユニセフでの活動は頭ではなく、体の仕事だった。」

「チームワークを大切にし、多くの関係者が三角州ある民主的な手法が大切だった。援助ということばには、どっか「やってあげる」という傲慢な感じがある。・・・つとめて「援助」ではなく、「プログラム強力」という言葉を使った。」

「私は、「知識」と「金」だけでは不十分で、開発途上国でアイデアを実際に行動に移すためには、「現地事務所の能力」が大切だと思っていた。この3つがそろってはじめて組織の力が発揮できる。口先だけのアクションなしでは信頼を得ることができない。」


 ユニセフをはじめとする国連機関の職員の業務の日常について知りたい方、特にその方面の職業を目指される方にとってはおすすめ。ページ数も229と少なく、さくっと読めます。

                        (2008年、白水社


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